株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2020-04-06 16:40:00

加藤あきらの投資戦略室

緊急事態宣言でアク抜け?V字急騰再開の狼煙となるか注目、そして忍び寄るインフレの芽

本日は寄り付きこそ37円高の17857円で小動きでしたが、その後は米国のニューヨーク州知事による感染者ピークアウト観測などから結局は700円超の上げ幅に拡大し、全面高商状となりました。

日本ではどうやら本日の夕方にでも先般の特措法に基づいた緊急事態宣言を発令がなされるとの報道もあり、安倍首相も専門家会議に臨んだ上で決断が迫られるところまできています。

今さらながらに緊急事態宣言が出てきても、株式市場の値幅調整は済んでいることから悪影響はほぼ織り込み済みであった値動きと言えるでしょう。

というよりかは、日本株の底打ちは既に3月半ば時点で完了していたとの前提を確認しておきますと、むしろいつになっても緊急事態宣言を発動せずに、感染拡大の事実を見て見ぬふりをしていると受け止められていたとの解釈が適当でしょう。

実際にNYクオモ知事の発言はさておき、米国全体としてもこれまでトランプ米大統領が発信してきた通り、先週・今週あたりにヤマ場を迎えるということでしたから、おそらくそれを見越しての先物買いを中心に一斉に買戻しの動きにつながったとみるべきでしょう。

さて、概ね今週のヤマ場を越えたところから次の展開を探っていくにあたり、V字急騰の再開なのか、あるいは中間反騰の消化不良分に過ぎず、戻り売りの急所となるのか、見極めが必要なところです。

とにもかくにも、上記の米国要因とも考えられますので、今晩の米国市場が買い先行から反発基調を維持できるかどうかが焦点となります。

また、これと合わせてどうやら以前にお話ししたインフレ圧力の芽が出てきていることにはお気づきでしょうか?

為替はドル高円安に振れている中で、世界情勢は大きく転換の時を迎えながらエネルギー価格の上昇、そして今度は穀物価格の上昇といった兆しが出始めてきています。

きっかけは週末のニュースで各国が食糧の輸出規制に一斉に動き出してきたことです。

これに反応してランキング入りした農業総合研究所(3541)やカネコ種苗(1376)をはじめ、、サカタのタネ(1377)や井関農機(6310)、日本農薬(4997)なども動意していますから、地合い良化に伴った単なる連想買いなのか、マスクや人工呼吸器、遠隔医療などとコロナ特需として発展性のあるテーマとして浮上してくるのか大きな注目ポイントとなります。

ご存知のとおり、わが国のエネルギー自給率および食料自給率の低さはかねてより囁かれてきた通りで、海外への依存率が極めて高くなっています。

投資家としては原油価格の反発を過度なリスクオフ後退としても好ましく感じる一方で、こうして食糧輸出規制などの話が出始めると実生活におけるインフレ、あるいはコロナ禍が横たわる中でのスタグフレーションを心配しなくてはならなくなってきます。

本日の値上がりランキングを見るとドキッとするかと思いますが、穀物・エネルギー関連のETFがかなりランクインしていることが目につきますね。

穀物系では小麦(1695)、とうもろこし(1696)、穀物(1688)のETFが、石油系ではエネルギー(1685)、ガソリン(1691)、NOMURA原油(1699)、WTI原油(1671)がそれぞれETF、その中に原油ブルETN(2038)が混じっています。

ETNというのはファンドではなく、NOTEつまり証券(発行体の信用力を元とした債券)であってさらに裏付けとなる現物資産の保有は行われないこととなっています。詳しくは東証のHPからお調べいただくとよいかと思います。

また、WTのETFは値動きだけ見れば凄まじいですが、流動性に難ありで普段の売買がほとんど無いものが含まれています。こうした商品は株価変動リスクとは別の流動性リスクが生じますので取り扱いには注意が必要です。

一時期のコロナショック真っただ中の時にはインバース型のETFやVIX連動型のETFがランキングを占める事態に陥ったことがありましたが、ひょっとすると今後は上記のような特殊なETFがランキングの常連入りする可能性も否定できません。

したがって今後は投資家としての立場だけでなく生活者としての立場からもマーケットと向き合う必要が出てくるかもしれませんし、ましてやインフレというのは既存のお金の価値を見直す必要に迫られるということでもあります。

歴史を遡れば貨幣経済が出来たばかりの頃には悪銭と良銭が区別され、お金の信用力が失われた時には急速なインフレが起こる事態なども通常モードでした。
ましてや現代にいたっても、新興国通貨などでは同じようなことが通貨危機などと合せて引き起こされていたりしますので、投資についていま一度よく深く考えるべき時機にあるのかもしれません。

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【 相 場 の 格 言 】
『人が冷静さを失っているとき、あなたが冷静さを失わなければ、
 あなたは富を築くことができる。』
(マーク・リッチー)

『最高のトレーダーは多くの独特な考え方をしている。
 彼らはその一つとして、恐れずにトレードを実行し、また同時に軽率なトレードと恐怖心によるミスを防ぐ心構えを習得している』
(「ゾーン 相場心理学入門」より)

それでは明日も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。

【本日ご紹介した銘柄】
カネコ種苗(1376)
サカタのタネ(1377)
井関農機(6310)
日本農薬(4997)
WT小麦上場投信(1695)
ドル建て小麦商品指数がベースで円換算による算出
WTとうもろこし上場投信(1696)
ドル建てトウモロコシ商品指数がベースで円換算による算出
WT穀物上場投信(1688)
ドル建て穀物(大豆など)商品指数がベースで円換算による算出
WTエネルギー上場投信(1685)
ドル建てエネルギー(原油など)がベースで円換算による算出
WTガソリン上場投信(1691)
ドル建てガソリン商品指数がベースで円換算による算出
NF NOMURA原油インデックス連動上場投信(1699)
世界の原油先物がベース
WTI原油(1671)
ドル建てWTI原油先物がベースで円換算による算出
NN 日経・TOCOM原油ダブル・ブルETN(2038)
TOCOMの原油レバレッジ指数(立会終了後の1本値方式)をベースとしたETN

執筆者:加藤あきら

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