株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2022-05-25 17:00:00

アナリスト木村の銘柄研究部

PIFが次にどの銘柄を買うかを予想するよりも、むしろPIFフォロワーの動きに期待

皆様、日々の株式投資へのお取り組み、ご苦労様です。

5月18日付で、サウジアラビア政府系ファンドPIFが任天堂(7974)株について、約5%に相当する650万株を「29億8000万ドル」で取得した旨、大量保有報告がなされました。
ネクソン、コーエーテクモ、カプコン、東映に次いで5銘柄目の日本株大量保有です。
まず、この「29億8000万ドル」という額が、「どれくらい」の規模なのかを考えてみます。

私が初めて、PIFの存在を認識したのは、お恥ずかしい話ながら、今年の初頭です。
昨年の10-12月に米ビデオゲームメーカー3社の株式を「30億ドル」余り相当分取得した、というニュースでした。
3社で30億ドルですから、任天堂1社でおよそ30億ドル投資したというのは、規模的にはかなり大きい事が窺い知れます。

PIFの総資産額は約50兆円と目されておりますが、上述の株式投資以外で目立った投資行動を追ってみると下記のとおりです。
◎ソフトバンクのビジョン・ファンド1号に450億ドル(当時の為替換算で約4兆7000億円)出資。
◎『ザ・キング・オブ・ファイターズ』などで知られる日本のゲーム会社・SNKの株式を33%超取得しており、今後51%の株式を持つ最大株主になる予定と表明。(SNKは現在、韓国の証券市場コスダックに上場)
◎英プレミアリーグのサッカーチーム、ニューカッスルを3億ポンド(約456億円)で買収。
 ニューカッスルの会長にはPIF総裁のヤシール・アル=ルマイヤン氏が就任。

ちなみに、2008年にアラブ首長国連邦(UAE)のシェイク・マンスール王子がプレミアリーグのマンチェスター・シティを買収しましたが、シェイク・マンスール王子の資産総額は約3兆5500億円。
2011年にパリ・サンジェルマン(PSG)を買収したカタール・スポーツ・インベストメントの親会社であるカタール投資庁の資産総額は約33.5兆円と目されていますが、PIFの総資産額はそれらを上回る事から、ニューカッスルはサッカー界で最も裕福なクラブになったと揶揄されているようです。

なお、PIF会長であるムハンマド皇太子の資産は約2兆円と目されております。
「ミスク財団」なるものを所有し、その傘下には「Electronic Gaming Development Company」という企業がある事からも、ムハンマド皇太子が「ゲーム好き」というのは本当の話のようです。

しかしながら、あくまでも、サウジアラビア国内外において、「13の戦略分野」での長期投資を実施し、同国の経済変革及び経済多角化を主導するという命題に基づいて、戦略的に政策投資を実行しているという印象で、単なる「ゲームおたく」とは次元が異なるように思います。

ムハンマド皇太子は敬けんなイスラム教徒とされている事からも、単なる「ゲーム好き」として過激なRPGをプレイする姿は想像できません。
上述の「13の戦略分野」の中にはカーボンニュートラル等、地球環境に配慮した投資も含まれるとされており、「ゲーム好き」というより、「自国だけでは無く全世界レベルの若き新リーダー」というイメージの方がしっくりくるように思います。
「好きな国」と公言している日本との戦略的パートナーシップにも前向きで、直近も岸田首相と電話会談を行った事が報じられています。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/me_a/me2/sa/page3_003242.html

これらを鑑みると、日本の株式市場への直接的なインパクトとしては、PIFが次にどの銘柄を買うのかを勘ぐるよりも、むしろ、「ムハンマド皇太子フォロワー」や「PIFフォロワー」的な、巨大ソブリンファンドの投資行動をマネた、もっと小ぶりな運用体や投資家が増殖し、そうした小ぶりな投資家の行動が五月雨的に日本株に流入する、と捉える方が的を得ているように思います。

いずれにせよ、日本株にとっては今後も、ソブリンファンド、さらにはその行動をマネた投資家勢からの資金流入が続くものと推察します。


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 単発スポット銘柄の見解 
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◆≪金のクジラ銘柄(****)≫
軟調相場の中にあって値動きはしっかりでした。
上述のムハンマド皇太子ほどの規模ではありませんし、
同社の主要事業とは関係ありませんが、同社もスポーツチームのスポンサーです。

◆≪アラブ石油王バブルマネー銘柄(****)≫
上述のコラム内でも触れた環境関連とも、資源関連ともリンクする銘柄です。
一方、主要事業では世界でトップシェアを誇ります。
大口海外投資家勢の資金流入が見込めそうです。
是非ご検討ください。



執筆:木村泰章

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