株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2016-05-14 09:00:00

銘柄アカデミー あすなろ校

あすなろコラム 「 銘柄アカデミー あすなろ校  vol.6」  ■ 三 菱 自 動 車 の 去 就 は ? ■

コラム「銘柄アカデミー あすなろ校」Vol.6
〜三菱自動車の去就は?〜


4月20日、三菱自動車工業(7211)が、軽自動車の型式認証取得で国土交通省に提出した燃費試験データに不正な操作があったことを公表しました。

同社は2000年と2004年にもリコール隠しの問題が発覚しており、三菱グループ各社の支援で再建中です。
そのさなかの不正発覚で、同社の企業体質が厳しく問われることになりますが、今回の影響がどこまで広がるか未だ不透明です。

最近はこういった「不正」に関するニュースが相次ぎ、日本だけでなく世界全体の政治的・経済的な影響は計り知れません…。

身近なところでは、東京都知事の政治資金疑惑(公用車の私的使用や海外視察の費用など)が発覚し、「現都知事に東京五輪やらせるな」との声も出ており報道番組を賑わせています。

海外では、4月初旬にニュースとなったタックスヘイブン(租税回避地)に関する「パナマ文書」の内容が公表され、足元ではその出所として有名になったパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」が5月11日に国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)を相手取って提訴すると表明しました。
しかも、公開されている「パナマ文書」は偽造された文書だと主張しているみたいです(笑)。

さらには、ブラジルのルセフ大統領が政府会計の粉飾に関わったとされ、上院にて大統領に対する弾劾裁判開始の是非をめぐって審議が始まりました。採決では過半数が賛成すると見られていますが、その場合はルセフ氏は最大180日間の職務停止に追い込まれる見通しです。
8月開幕のリオデジャネイロ五輪を前に、政治の混乱が深まることも気がかりですね。

かつて米国の対抗国として隆盛し、もてはやされた中国も製造業の過剰設備や急速な高齢化で長期停滞の様相を匂わせています。
最近では政府高官が疑念のある中国経済指標の鈍化をふまえて、高度成長の継続性を非現実的だと発言しており、実態は我々が思っているよりも芳しくないのかもしれません。

不正ばかりで目まいがしますので、三菱自動車の話に戻しますね(笑)。
5月12日、三菱が日産に傘下入りする報道により倒産リスクが後退し、空売り筋の一斉買戻しによりストップ高となりましたが、株価が不正発覚前の水準に戻るのかは依然不透明です。

日産自動車が三菱自動車の新株・5億662万株を1株=468.52円で引き受け(投資金額2373億円)新株発行後の議決権の34.0%を保有する筆頭株主になると書かれています。日産自動車は実質的に三菱自動車を傘下に入れてしまうことになります。

つまり、6月下旬に三菱自動車の株主総会が開催されるはずですが、そこで株主の承認が必要とは想定されておらず、三菱自動車の株主である三菱グループと根回しをしていたとも思えません。

よって、この新株発行は、株主総会で出席者の3分の2以上の賛成で承認される特別決議が必要な「重要案件」であることは間違いなく、また日産自動車が三菱グループに事前に相談していたらこんなにすんなり発表できたはずがありません。

まさによく言えば「電光石火」、正確に言えば「燃費データ不正のどさくさに紛れて」、さらに多少の推測を入れれば「燃費データの不正を通報するタイミングも含めて最初から仕組んでいた」となります。

いずれにせよ、来月にはユーザー、取引先を含めた賠償金額がどれほどになるか明確になると思われますが、現実に受注額が半減しているほか米系証券のゴールドマン・サックスのレポートによれば、販売停止影響350億円、買い控えによる販売不振440億円、特別損失で最大2,960億円と推計し、目標株価を大幅に減額しております。

ただ、ハッキリ言えることは、三菱グループはここで抵抗しておかないと、あとは日産自動車と同じように三菱自動車もフランス政府とルノーとカルロス・ゴーンに食い尽くされるところを見ているだけとなります。燃費データ不正の影響がどこまで深刻であるかは分からなくても、三菱自動車をたった2373億円で売り渡してしまう必要もないはずです。

三菱グループでは三菱商事が資源開発で大赤字となり、三菱重工は1000億円で受注した大型客船2隻で2300億円以上も損失となり「それどころではない」かもしれませんが、言うなれば三菱自動車の実質支配額(2373億円)とほぼ同額です。少しは日本のために抵抗してみるべきです。

投資家の方は株価の動きも気になるところだと思いますので、個人投資家の動向を調査してみました。
現在は、日産による救済期待で不正発覚前の800円台目標として買いが集まっていますが、良いところで半値戻しの650円水準が一つのポイントになってくるでしょう。

いずれにしても、個別材料株投資にあたっては需給面に着目して株式市場のマネーがどこに向かっているのかを常に注視しておく必要がありそうです。


【ご参考】株価は5/11時点
三菱自動車(7211) 495円
日産自動車(7201)1,002円
明電舎(6508)   451円
カルソニックカンセイ(7248) 769円
三菱電機(6503) 1,238円
三菱重工業(7011) 401円
三菱商事(8058) 1,820円
GSユアサ(6674) 448円
イクヨ(7273)   146円


※国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)は5月9日、パナマ文書問題に関連し、パナマや英領バージン諸島など世界21カ所のタックスヘイブン(租税回避地)に設立された約21万4千社の法人と、関連する約36万の企業や個人の氏名、住所のデータベースをホームページ上で公開した。日本関連とみられる個人や法人名約600件も含まれていた。租税回避地での法人設立自体は合法だが、マネーロンダリング(資金洗浄)や資産隠しなどに悪用されている可能性がある。パナマ文書は26、27両日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でも主要な議題になり、具体策が協議される見通し。


※ブラジル弾劾裁判の採決結果によってはかのルセフ大統領は職務停止となり、テメル副大統領が大統領の職務を代行することになる。その後、連邦最高裁長官を裁判長とする弾劾法廷が上院に設置され、全議席の3分の2(54議席)以上が賛成すればルセフ氏は罷免され、そうでない場合は大統領に復職できる。

※5月12日の報道では日産自動車(7201)が三菱自動車(7211)に対して2,000億円超を出資し、三菱自動車の全株式の3割強を取得する方向で最終調整しており、今後は筆頭株主として再建の旗振り役となるほか、三菱自動車のブランド力がある東南アジアなどでの生産・販売、電気自動車(EV)や軽自動車の開発体制を強化していく狙いがあるとみられる。



筆者:あすなろ運営事務局



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