日本ガイシ（5333）

同社は、セラミック技術を基盤に多角的な事業を展開する企業で、主要な事業セグメントはエンバイロメント事業、デジタルソサエティ事業、エネルギー＆インダストリー事業の3つとなる。

エンバイロメント事業では自動車関連製品の取り扱いが主となり、デジタルソサエティ事業では、半導体製造装置用部品やハードディスクドライブ（HDD）用製品等を、エネルギー＆インダストリー事業では送配電に係るガイシ等を手掛けている。

AI分析のXENOによると、同社のファインセラミックス加工製品メーカーとしての国内マーケットシェアは、30.95％で62社中1位と推計される事から、自動車生産回復の本格化、AIや半導体製造装置向け電子部品需要の増加、データセンター建設需要に係るパワーグリッド関連の伸長など、事業環境面の追い風を最も受けやすい優位性を有するものと考える。

25年3月期の連結経常利益は前の期比24.1％増の782億円に伸びたが、今期は前期の反動もあって、前期比10.5％減の700億円と減益計画となっている。
会社側は、自動車関連製品は概ね当年度程度の需要を見込むほか、AI向け半導体の需要継続により半導体製造装置用製品の需要等が増加し、全社でも為替円高のマイナス効果を吸収し増収を見込む旨コメントしている。

為替レートは1ドル135円、1ユーロ155円と保守的な前提との印象だ。
利益面については、為替円高や関税政策影響を織込んだ結果、営業利益、経常利益が減益計画である一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等が減少し前期比で増益を見込んでおり、業績見通しが上方修正される可能性を含んでいるものと見る。

全体相場のリスクオフ局面の影響を受け、一時的に1600円割れまで下落した株価は、順調に切り返し基調に転じ、4月末には5日・25日移動平均線がゴールデンクロスした。
PER10倍割れ、PBR0.7倍、配当利回り3.7％とバリュー性を示す株価指標が目立つ事から、底値圏からの株価の切り返しに期待したい。