東京製鐵（5423）

電炉を用いた鉄鋼生産で知られるリーディングカンパニー。主力のH形鋼や鉄筋などを中心に、建設・土木需要を取り込んできた。電炉メーカーゆえのCO2排出抑制、コスト競争力、柔軟な生産体制が強みと見る。近年は再生可能エネルギー拡大やインフラ老朽化への需要が追い風。海外事業も視野に入れ、国内外の構造転換を受け止める体制を敷いている。業界再編やカーボンニュートラルの流れが加速する中、同社の環境対応力と市場適応力が今後の成長性に結びつきやすいとみる。

2025年3月期は売上高が前年同期比11％減の3267億円、営業利益は20.9％減の301億円、経常利益は20.4％減の316億円、最終利益も24.2％減の212億円に着地。中国鋼材の高水準輸出や、国内建設案件の工期遅れで市況は軟調に推移。出荷数量と価格が下落し、生産量の減少で固定費負担も上昇した。設備投資額は大幅増加し、今後の競争力強化を目指す姿勢がうかがえる。2026年3月期も慎重な計画となり、売上3050億円（前期比6.7％減）、最終利益は130億円（38.7％減）を見込む。株主還元については配当性向25～30％を目安に、年間配当50円の維持を予定。市況変動が利益を左右しやすい事業構造ながら、盤石な財務基盤や内部留保、資本効率向上も引き続き意識されている。

株価は6月半ばから下値を切り上げる形となり、直近は1600円台後半を中心に推移。7月に入り1700円目前での上値トライが続き、押し目での買い需要もみられる。25日線が上昇を維持し下値をサポート、7月14日終値は1671円。短期的には利益確定と新規の押し目買いが交錯しやすいエリアであり、25日線・75日線を意識した調整からの再浮上局面を期待したい。出来高は一定水準を保ちつつ、過熱感が薄まったことで再度のトレンド転換への布石ともなりそうだ。今後の需給次第では1700円台の壁を突破し、新たな値固めに移るシナリオも想定される。