日産車体（7222）

日産自動車グループの中核企業として、主に自動車の製造受託を手がける。自社の企画による開発・生産は限定的で、親会社からの大型車やSUVなど多様なモデルを委託生産するビジネスモデルが特長。新型インフィニティQX80や新型パトロール、新型アルマーダといった大型高付加価値車種の受託増加が追い風になっており、主力の湘南工場では最新生産技術を投入した効率的な体制強化を図る。こうした新型車シフトや生産性向上に加え、グローバル需要動向や親会社との連携の巧拙が今後の成長力を左右すると考えられる。

2025年3月期は売上高3505億円、経常利益58億円と前期比で大幅増益となった。これは新型車の販売増や高付加価値モデルへの移行が奏功したことに加え、能登半島地震による部品供給制約の影響が解消されたことが寄与している。営業利益は425％増、純利益は645％増と劇的な回復を見せた。2026年3月期も売上高3981億円、経常利益70億円、純利益44億円を見込んでおり、主力モデルの増産や新規車種の立ち上げ、生産合理化による利益体質強化への期待が持たれる。一方で、親会社の日産自動車による生産拠点再編の動向やグローバル需給の変動など、不確実性にも引き続き注意を要する局面と捉えたい。

直近の株価は1100円台で推移し、6月以降は25日移動平均線を意識した調整から反発局面を迎えつつある。75日・200日移動平均線を上抜けたことでトレンド転換の兆しも見え、5月からは週足の一目均衡表では雲上限を明確に突破。出来高の増加や遅行スパンの上方シグナルも確認でき、需給面の改善も進んできたと判断される。短期的には押し目買いを意識したリバウンドが続く一方、日産自動車の工場再編ニュースなど外部要因への反応には注意が必要。ボリンジャーバンドの+1σを下値支持とした値動きが続くようだと、中期的な戻り余地にも期待がかかる。