不二精機（6400）

精密金型および成形品を軸としたメーカーである。高精度な金型設計・加工技術を基盤とし、二輪・自動車・医療機器など多様な分野へ展開。特に鈴鹿工場ではEV関連部品の研究開発を推進し、収益基盤の拡張を図っている。国内外（中国・東南アジア）にも拠点を持ち、受注環境の好転や旺盛なニーズに対応する体制が整備されつつある。不確実な外部環境下でも、技術力と顧客対応力が強みと映る構造である。

2025年12月期第1四半期は売上高22億5400万円（前年同期比5.0%増）、営業利益1億3800万円（同15.0%増）、経常利益1億6000万円（同80.4%増）と堅調な成長を示した。特に経常利益段階での大幅な伸びが注目される。精密成形品その他事業の営業利益率が6%に改善し、主力事業の収益性向上が確認できる。通期予想では売上高88億1900万円、経常利益3億6700万円を計画しており、前期対比で増収増益基調を維持する見通し。鈴鹿工場におけるEV関連開発や原価改善努力により、安定的な利益水準維持が期待される。配当は1株7円の維持が見込まれ、株主還元の継続姿勢がうかがえる。

現在の株価は年初来高値307円（5月21日）から約10%の調整局面。5日移動平均線262円を上回る位置での推移が続いており、短期的な下値支持線として機能している。出来高は直近で2万2000株と平均的な水準で、国内個人持株比率が73.3%と高い。テクニカルでは年初来安値197円からの上昇トレンドが維持されており、業績改善を背景とした株価の底上げ傾向が継続することが期待できると見る。週足の一目均衡表では抵抗帯を突破しつつある点も見逃せない。