ヤマタネ（9305）

老舗の総合商社型ロジスティクスである。港湾運送、通関、保管、配送まで一気通貫の物流に強みを持ち、食品ではコメの卸売や加工食品の卸を展開。物流×食品の二本柱に、不動産賃貸と情報（IT機器レンタルやシステム運用）を添えた多角化ポートフォリオが特徴と見る。倉庫運営や国際引越などの現場力、食品では調達と品質管理のノウハウ、長期顧客との関係性。足元は連結売上の柱が複数あることで景気変動に対する耐性を高めているとみる。中期は物流の価格転嫁定着と食品の安定供給体制が収益基盤の底上げ要因。

2026年3月期1Qは売上221.31億、営業利益20.15億と大幅増。食品ではコメ不足に伴う単価上昇と価格転嫁が寄与、物流は外注費や人件費の転嫁進展で採算が改善した格好である。通期見通しは売上888.70億、営業利益55.20億へ上方修正。2Q累計も増額し、前提の堅さがうかがえる。配当は株式分割に伴う見直しで年62.50円（実質据え置き相当）。加えて自己株買いを継続し7月に129800株を取得と還元姿勢が明確。留意点は食品で数量が伸びにくい局面や物流の一部解約、米価の変動である。

株価は足元2820円前後。8月1日に年初来高値2879円を示現後、高値圏でのもみ合い。予想PER12.69、PBR1.04と水準訂正の余地はテーマ頼みではなく業績寄与で評価されやすいとみる。信用倍率2.71と極端な片寄りは小さめ。株式分割で流動性が改善し、上方修正と自己株買いが下値の支えになりやすい局面と整理したい。テクニカルの注目は2879円の上抜け可否と節目2800円近辺の攻防。イベント面では米価動向と国際物流の外部環境に目配りを置く。