和田興産（8931）


神戸・阪神間を主戦場とする分譲マンションブランド「ワコーレ」を核に、開発から販売、引渡しまで一気通貫で展開する都市型デベロッパーである。柱は中小型中心の分譲マンション販売。補助線として賃貸収入、その他不動産販売、戸建を組み合わせる多層ポートフォリオ。地域密着ゆえの用地眼とブランド浸透が強みと見る。契約後の未引渡戸数が厚く、短期の業績視認性は相対的に高いと判断。建築コストの高止まりや金利動向は留意だが、供給絞りの市況下で販売単価の堅調さが収益を下支えしやすい構図と捉える。

26年2月期1Qは、売上高が前年同期比12.1%増、営業利益38.5%増、経常利益50.3%増、最終利益61.7%増と好発進。分譲の引渡戸数増が牽引し、賃貸も安定推移と評価する。第2四半期累計（上期）計画に対する経常利益の進捗は約75.7%で、季節性を勘案しても前倒し感が出ているとみる。一方、通期計画は増収減益を据え置き。前期の好採算案件の反動や建築費の高止まりを織り込んだ保守姿勢で、足元の強さと通期見立てのギャップは意識されよう。契約済未引渡の厚みが計画達成の下支え要因とみるが、コストと金利は注視継続。

7月中旬に2006年以来の高値圏へ浮上。材料は1Qの好進捗とみられ、出来高を伴う上抜け後は1600円台中心のもみ合いで値固めの段階と読む。月足では長期レンジ上限を試す局面で、上値は高値圏の価格帯別出来高が抵抗として意識されやすい。一方、直近の25日線付近が押し目の目安として機能しやすい構図。信用需給は極端な偏りは見えにくく、業績材料の継続性が次の方向性を決めると考える。イベント面は金利と建築コストのヘッドラインに反応しやすく、追風と逆風の両にらみでの機動的なスタンスが一考であろう。