神島化学工業（4026）

住宅向けの窯業系外装材や防火サイディングを主力とし、無機材料や機能セラミックスまでを抱える建材×化学の複合メーカー。厚みと意匠性を両立した外壁材はハウスメーカーの採用実績が厚く、量産と品質安定を背景に収益の柱となる構図とみる。化学分野では酸化マグネシウムや難燃性水酸化マグネシウムなどを展開し、電材や産業用途でニッチな需要を捉える。近年はSBT認定取得など脱炭素の取り組みを強化しており、製造工程の排出削減や再エネ活用の加速が、中期的なコスト構造の最適化とブランド価値の底上げに寄与しよう。建材の需要回復に機能材の付加価値を重ねるポートフォリオが強みとみる。

2025年4月期は売上が増加する一方、固定費や在庫調整の影響で営業段階は伸び悩みという決算となった。ただし会社側は次期に向けて高付加価値製品の拡販と生産性向上を掲げ、増収増益の回復シナリオを示す。建材は住宅着工の底打ちと価格政策の浸透が寄与しやすく、化学・機能セラミックスは用途拡大がじわり効いてくる構図と読む。過度な数値依存は避けるが、決算短信と開示群からは“今期は増勢回復に舵”のメッセージが読み取れる。ESG面の取り組みも生産効率や調達面の最適化に波及しやすく、利益体質の改善が期待できよう。一次情報の継続確認を前提に、上振れ余地の点検を続けたい。

直近は出来高を伴う切り返しが観測され、短期レンジの上辺を意識する展開。200日線の攻防を上向きに抜けつつある局面で、押し目形成後のリターンムーブが成立すれば、年初来レンジの上限試しへ歩を進めるシナリオが描ける。信用需給の軽さと出来高増加日の実線陽転はポジティブサイン。反面、住宅関連センチメントに振れやすい側面があるため、支持線（5・25日線）割れ時は一旦の仕切り直しがベターだ。まずは出来高を伴った戻り高値更新の有無、次いで週足での高値切り上げを確認しながら段階的に評価したい。