セック（3741）

私たちの生活の裏側で、一瞬の遅延も許されないシステムを支える企業がある。それがセック（3741）である。同社は「リアルタイム技術」に特化したソフトウェア開発の精鋭集団だ。スマホの通信をつなぐモバイル基盤から、自動運転、ロボット、そして「はやぶさ２」や月着陸機「SLIM」といった宇宙開発分野まで、その技術領域は極めて広い。特に宇宙・防衛や社会インフラといった、失敗が許されないミッションクリティカルな分野での実績は、他社の追随を許さない高い参入障壁となっている。派手さはないが、高度な技術力で日本の安全と科学技術を根底から支える、まさに「現代の職人集団」と呼ぶべきビジネスモデルである。

直近で発表された2026年3月期第2四半期の決算は、同社の成長軌道が一段と加速していることを示す内容となった。売上高は53億1700万円と前年同期比で約18パーセントの増収を達成し、本業の儲けを示す営業利益も8億2700万円と堅調な伸びを見せている。特筆すべきは社会基盤システムや宇宙先端システム分野での高付加価値案件が寄与している点だ。また2025年10月に行われた1株を2株にする株式分割により、投資単位が引き下げられ流動性が向上したこともポジティブである。自己資本比率は84.4パーセントと極めて高い水準を維持しており、財務の健全性は盤石だ。通期計画に対する進捗も順調であり、連続最高益更新への期待が高まるファンダメンタルズと言えよう。

足もとの株価は2900円近辺で推移しており、上昇トレンドへの回帰を試す展開となっている。日足チャートを見ると、緩やかな上昇を描く25日移動平均線が下値支持線として機能しており、押し目買い意欲の強さが確認できる。直近では3000円の大台を意識した攻防が続いているが、ここを明確に上抜ければ、ボリンジャーバンドのプラス2シグマに沿ったバンドウォークへの発展も期待できそうだ。一目均衡表では雲上での推移が続いており、雲を完全に上放れていることで、三役好転の強い買いシグナル点灯も引き続き視野に入ってくるチャート形状であると言える。