アイビーシー（3920）

ITインフラの性能監視を主軸とするソフトウェア企業として注目される存在である。同社の中核製品「System Answerシリーズ」は、2008年のリリース以来、導入実績1000社以上、監視項目1800万以上という確固たる地位を築いている。自社開発による強みが際立つのは、120社を超えるネットワーク機器ベンダーに対応するマルチベンダー対応力であり、この点が同業他社に対する競争優位性を形成していると見られる。事業モデルの特徴は、ライセンス販売を軸とした収益基盤の安定性である。既存顧客の更新率が96%と極めて高く、ストック型ビジネスとしての性質が色濃い。

2025年9月期の通期決算は、売上高が24億円と前期比15.0%増、営業利益は5.7億円と同46.9%増の大幅な伸長を記録した。とりわけ注目すべきは利益面の拡大ペースである。経常利益は5.7億円と前期比45.3%増、当期純利益も4.1億円と同78.5%増と、増収以上に利益が伸びる構造が鮮明となっている。主力のライセンス売上は12.5億円と前期比20.6%増と好調を維持し、収益の柱として機能している。2026年9月期の会社計画は、売上高27億円と前期比12.3%増、営業利益6.1億円と同8.0%増と、増収増益基調の継続を見込む。

足もとの株価は950円前後で推移しており、11月中旬につけた1010円近辺の高値から調整局面が続いている。年初来高値は8月に記録した1151円であり、そこからは2割程度の下落を経て、現在は900円台での底固めの様相を呈している。移動平均線との関係では、25日線が920円近辺、75日線が950円近辺と意識される水準に位置しており、短期的には75日線を巡る攻防が展開されている状況である。テクニカル的には、900円近辺が下値支持帯として機能しており、この水準を維持しながら、再び1000円台を試す展開が期待される局面といえよう。