日本ケアサプライ（2393）

日本ケアサプライは1998年創業、三菱商事グループの福祉用具レンタル卸企業である。介護ベッドや車いすを介護事業者に貸し出すB to Bモデルで、福祉用具レンタル市場では24.5%のシェアを持つ。一見すると単純なレンタル業に見えるが、実はこの事業の核心は「見えないインフラ」にある。返却された用具を短時間で洗浄・消毒し、全国に再配送する物流網と在庫管理システムは、簡単には真似できない参入障壁となっているようだ。さらに2020年にはALSOKと資本業務提携を結んでおり、警備会社との組み合わせは一見奇妙に見えるが、高齢者の見守りサービスと福祉用具を一体提供できれば、介護事業者にとっての「ワンストップ窓口」になる可能性がある。三菱商事のネットワークも加われば、地域包括ケアの中核企業として存在感を増していくかもしれない。

2026年3月期第2四半期は売上高170.88億円(前年同期比9.0%増)、営業利益15.5億円(同34.6%増)と好調だった。ただし通期予想は売上高345億円、営業利益26.5億円で据え置かれており、下期の慎重姿勢が見える。背景には2024年の介護報酬改定があり、福祉用具貸与の一部品目で価格上限が引き下げられた影響が残る。それでも営業利益率9%台を維持できているのは、効率化とシェア拡大が進んでいる証拠と言えるだろう。特に注目したいのは、自社レンタル売上の成長率が国の介護保険レンタル費用総額の伸び(約4%)を上回っている点だ。これは市場拡大の恩恵だけでなく、競合から顧客を奪いながら成長していることを示唆している。2030年までに年率6%以上の成長を目指す長期ビジョンも示されており、M&Aによる規模拡大も視野に入れている。制度改定リスクはあるが、それを吸収しながら成長できる体質が整いつつあるように見える。

株価2325円は、年初来高値2477円から約6%調整した水準だが、年初来安値1811円からは28%上昇している。配当利回り3.1%は手堅いものの、ここで注目したいのは「成長性」への評価がまだ十分に織り込まれていない可能性だ。2025年に団塊世代が全員75歳以上となり、介護需要は着実に増えるだろう。福祉用具レンタル市場は年率4～5%で拡大する見込みだが、同社はそれを上回る6%以上の成長を目指している。さらにALSOKとの提携による見守りサービスの統合や、三菱商事のネットワークを活かした新規事業展開の余地もあるだろう。現在の株価は「安定配当銘柄」として評価されているように窺える。成長戦略が具体化すれば「成長株」としての再評価が加わる可能性がある。PERは10倍台前半と割安感もあり、2500円を超える展開も視野に入ってくるのではないか。