貯め込み気質の日本経済はいつまで続くか
日米の金融政策決定会合を控えて膠着感が鮮明な一日となりましたが、出来高も含めて市場エネルギーの物足りなさを感じますね。
そんな投資家の気持ちをよそに先週の日経新聞サイトで「預金残高ついに1000兆円」という記事が目に留まりました。
2017年3月末時点で、銀行や信用金庫などの預金残高は過去最高の1053兆円となったそうです。
そんな活用されないマネーの現状を同記事では「死に金」と揶揄していました。
また、週末のニュースでは「実質無借金」企業の経営実態を映した記事がまとめられていました。
手元資金が有利子負債より多い「実質無借金」の企業は2017年3月末時点で前年比で60社増え、初めて2000社を超えたそうです。
企業業績が改善傾向にあるのが明らかとなったのが、3月期決算企業の前期連結純利益は過去最高となり、最高益企業が全体の3割近くにのぼっています。
今期も過去最高益を更新する見通しで、潤沢な利益剰余金はそのまま設備投資やM&Aに活用するというよりも有利子負債削減に向かっている側面があります。
ただし、お金が回らないうちは景気が好転しないのは周知の事実で、そんなようなことを日本はバブル崩壊以降20年以上続けています。
というよりも、まもなく30周年を迎えてしまいます。
政府も「貯蓄から投資へ」と掲げたスローガンもいつしか聞かなくなりましたし、日銀もマイナス金利やらを導入しながら銀行の貸出はいっこうに上向く気配がありません。
個人も企業も将来への不安にばかり目がいってしまい積極的にお金を使わない現状があるのかもしれませんが、そんな中で金融政策において緩和の出口を模索しても効果があるはずがありませんよね。
日本にも実力のある企業はたくさんありますし、銀行や投資家がきちんと評価できて、資金を有効に設備投資やM&Aなど成長戦略に活かすことが求められています。そこから、増配や自社株買いといった株主還元でお金が回り始めれば日本経済のピーク更新は意外に早く訪れるのかもしれないです。
【 相 場 の 格 言 】
『小さく生んで大きく育てる』
それでは、明日に希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
執筆:加藤あきら
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