株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2017-08-13 09:00:00

米株くらぶ

決算シーズンは後半戦に

8月の米国株式相場は1週目にNYダウが2万2000ドルを突破してからも続伸し、強い地合いが2週目も続いている。4日発表の7月の雇用統計で失業率が4.3%に、非農業部門の雇用者数は前月比20万9000人増と市場予想18万人増を上回ったものの、FRBは金融引き締めを急がないだろうとの見方は変わらなく株式相場の支えとなった。

引き続き企業業績の伸びが相場のけん引役となっている。トランプ政権の人事の更迭など政治混乱や北朝鮮地政学リスクなどどこ吹く風といわんばかりだ。調査会社によれば7日時点の主要500社の4〜6月期の増益率は12%の見通しであり、2期連続で2ケタ増益となる模様。7〜9月期も9%と堅調な増益が続くと予想されている。

一方で、調査会社発表の主要500社の予想PER(12か月後利益予想ベースの株価収益率)は17倍であり、過去平均の15倍を上回っており株式相場は割高だとの声も上がっている。
 しかし8月は大きな材料に乏しく、下旬に開催予定の世界の中央銀行幹部が集うジャクソンホール会議を別にすれば、調整が入るとしても9月との見方が多い。

 決算発表は後半戦に入り、消費関連から多くの発表が控えている。7日には食肉大手のタイソン・フーズが4〜6月期決算を発表。売上高と調整後の1株利益が市場予想を上回ったことで株価は上昇し、他の食品・スーパー株も堅調だった。
 8日にメディア・娯楽大手のウォルト・ディズニーが決算を発表。1株利益は1.58ドルと市場予想を上回ったが、売上高は前年同期と変わらずの142億ドルで市場予想未達だった。動画配信大手のネットフリックスとの提携解消が伝えられた。2019年のサービス開始に向けた独自のオンライン映画コンテンツ開発がどう軌道に乗るかが今後の材料となる。

 あすなろでは、景気拡大を受けた好調な決算発表と業容拡大見通しを受け、株高が続くと予想している。今回は目先を変え、小売業界のレストランの分野から2銘柄を紹介する。残念ながらいずれも日本進出は未定である。


1.グラブハブ(GRUB)[NYSE]



 グラブハブ(Grub Hub Inc.)は、オンラインフードデリバリーの注文サイト運営会社。シカゴに本拠地を置き、全米1,200以上の都市とロンドンにおいて55,000店舗のレストランと提携し、オンライン、スマホ上の「GrubHub」のサイトで顧客に対し宅配サービスを展開する。

 株価は55.82ドル、(前日比-0.48%)(現地8/9引け)。8/3発表の4〜6月期決算発表では売上高が前年同期比32.1%増の158.8百万ドル、純利益が15.2%増の14.8百万ドル、1株利益は0.17ドルと前年同期の0.15ドルから上昇。一日あたり平均利用者数は同15.8%増の313,900人、アクティブな利用者数は24.8%増の9.2百万人とこちらも堅調に2ケタ増だった。

 決算発表時にYELP(日本のぐるなびにあたるオンラインでレストランの格付けや批評をおこなう会社)の一部事業の買収を発表したことが好感され、グラブハブ株、YELP株ともに上昇した。グラブハブは7月にグル―ポンとの提携も発表している。オンラインフード宅配全米1を見据えた事業拡大が期待できることから買いの好機ととらえられよう。

2.ウィングストップ(WING)[NASDAQ]



 ウィングストップ(Wingstop Inc.)は、テキサス州ダラスに本拠を置き、チキンウィングに特化した直営・フランチャイズのレストランを運営する。米国と国外7カ国(フィリピン、インドネシア、マレーシアなどアジアも含む)において1000店舗超を展開。因みにアメリカのチキンウィングは日本の焼き鳥のような感覚のファストフードである。ビールのつまみとして愛好者が多い。

株価は32.63ドル、(前日比-0.37% )(現地8/9引け)。8/3引け後の4〜6月決算発表では売上高が前年同期8.6%増の24.7百万ドル、純利益が同29.1%増の5.3百万ドル、1株利益は基本・希薄化後ともに0.18ドルで前年同期の0.14ドルから上昇。売上高と1株利益は市場予想を上回った。さらに決算発表時に通期の1株利益の見通しを23~25%増に引き上げたほか四半期配当プログラムの開始を発表したことが好感され、株価は引け後に上昇した。
 チャートは “Cup-with-handle”(取手のついたカップ)の形状であり、節目の30ドルを超えたため上昇の勢いが続きそうだ。



<米国株豆知識 その7>
ブルーチップとは?
先週の新興株に代わって今週はブルーチップと呼ばれる大型優良株を取り上げる(ブルーチップはカジノやポーカーで使われる最高額のチップを指し、あとで株式用語に転用されたようだ)。ブルーチップは主にニューヨークダウ(ダウジョーンズ社が算出する30の代表銘柄の平均株価指数)の構成銘柄であり、成長性、財務状況が優良な大型株のこと。米国企業は株主還元意識が強いため、ブルーチップには長期にわたって連続増配を続ける先が多い。コカ・コーラ、ジョンソン&ジョンソンは50年以上、P&Gは60年以上も連続増配をキープしている。AT&Tやたばこのアルトリア・グループなど配当利回りが5%を超えるものもある。
著名投資家のウォーレン・バフェットは、ハイテクを避け、コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレスなど身近の銘柄の長期保有で資産を増やしたことで知られる。皆さんもディズニーランドに足を運ぶついでにウォルト・ディズニー株の購入も考えてみては如何だろう。株価は102.83ドル(8/9引け)。


執筆:パパジアン裕子


<著者略歴>
1983年上智大学外国語学部卒業後、外資系銀行、証券会社等にて勤務。モルガン・スタンレー証券、ゴールドマン・サックス証券在籍時は債券部に所属。その後渡米、1994年にニューヨーク大学でMBA(金融専攻)取得。みすほFGの米国拠点やみずほキャピタルマーケッツに勤務。2003年に帰国後は、主にみずほ証券投資情報部におけるヴァイス・プレジデントの任に就き60社を超える欧米企業を担当、グローバルアナリストとして数々のファイナンスレポートを執筆。鮮度の高い現地情報と知識に裏付けされた明快な市場分析には定評があり、常に投資家の視点を持ちながらベストパフォーマンスを追求。

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