株式市場を待ち受けるのはバブルか?2番底か?
そんな中、日経平均も先週末のところで20,000円の大台に手が届くところまできており、今後のゆくえが気になる方も多いことと思います。
実際のところ、24,000円台の高値から16,000円台の安値まで8,000円程の値幅で急落した後、現在はそのおよそ半値戻しを達成したこととなります。
このまま中間反騰を続けてバブル相場へ突入していくのか、はたまた再度下落に転じて2番底を探りにいくのか、この先企業の決算発表やゴールデンウィークをはさんで分かれ道となるところです。
大まかに言ってしまえば、おそらく今後の株価も世界経済のゆくえも大国アメリカ次第といった点に異論は無いでしょう。
ご存知のとおり、米国は今回のコロナショックから立ち直るために、起死回生のトランプ経済対策200兆円プランをぶち上げて再びボトムアップを図っているところです。
これについては少しおさらいしておいた方がいいですね。
内容はまずこれまでの経済対策などとはケタ違いで、大企業支援ローンに50兆円、さらに中小企業には超優遇策つきの支援ローンで40兆円で事業継続を促し、国民には現金給付(大人1,200ドル、小人500ドル、1家計平均3,400ドル)のセーフティネットを施します。
また、金融政策では米FRBが230兆円の大量資金供給で援護射撃し、これまでの量的緩和策の枠を大幅に拡大して国債買い入れ、さらに企業の社債、CP、そしてなんと低格付けのジャンク債を含めた80兆円という大胆な政策を打ち出してきました。
4月になって経済指標はすこぶる悪化し、失業率なんかもこの先3か月間で2ケタを超えるとの試算も出ていますが、トランプ政権は秋の米大統領選挙をにらみ経済活動再開を急いでいます。
したがって、今後の焦点はこの大規模な経済対策の効果によって実体経済の悪化をどこで食い止めることができるかになってくるのだろうと思います。
この週末のニュースでは、トランプ米大統領は新規感染者の増加がピークを過ぎたと早速のところで、テキサス州などを皮切りに経済活動再開を促し、今後は州ごとの判断で順次再開が予定されています。
元は4月イースター明けから5月上旬をメドとして、およそ5月1日~上旬の経済再開をほのめかしてきトランプ米大統領ですが、全米での早期再開は断念して一部での再開を順次拡大させていく方向へと舵を切った形です。
マーケットもこれを歓迎する動きで、期待先行感は否めないものの日経平均の戻り高値更新につながったわけです。
これから当の5月上旬に向けては一段と上昇を強める展開となるのではないか、その他にも抗ウイルス薬やワクチンなどさらに安心感を誘う材料の期待感も出てきているところです。
一方で、米国の早期再開が裏目に出て感染拡大の第二波を引き起こしてしまうということになれば、やはり戻り一服からの二番底模索・・・という懸念も孕んでいることとなります。
日経平均の値幅からすれば半値戻しで上下にそれぞれ4,000円の値幅があり得るということになりますので、リスク・リターンは1:1と非常に動きづらい局面でこの5月上旬を迎えることになりそうです。
では、期待値としてどちらが高いのか?といった発想になるかと思いますが、損益に直結してくるのはあくまで日本株の動向です。ここで日本の政策も確認しておくのがよいかと思います。
日本ではこれまでなかなか経済対策の中身で折り合いがつかず、細かな議論ばかりに注目が集まっています。
ここではこの問題は置いておくとして、ようやく今週にも決定がなされるところで、最も話題の現金給付も所得制限なしの1人10万円で決着しそうです。
これに関しては、当初案の財政出動における真水部分16兆円から見れば、24兆円に1.5倍の拡大といった点で非常にポジティブな話です。
日本のGDP比ではおよそ5%といったところでまだ物足りなさが残りますが、最新のIMF経済成長率見通し(4/14発表)では日本の2020年減少率が▲5.2%と試算され、来年が+3.0%を見込んでいます。
ですから、ちょうどこの落ち込み分をカバーできる程度は手を打っており、米国のように緊縮財政から解放されたというところまではいかずバブルには程遠い反面、2番底回避の及第点はクリアと言えるかと思います。
また、日本の政策スタンスにも評価できる点は多く、景気の観点から言えば3月上旬の段階で中小企業支援で手厚いセーフティネットは用意しており、まず中小企業の資金繰りを支援し雇用の不安定化を防いだところが見どころです。
仮にヨーロッパ諸国のように思い切った個人への現金給付をしたところで、失業者が蔓延してしまってはやがて難民化するリスクは残るわけで、根本的な景気下支え効果は望めない可能性も出てきてしまいます。要するに優先順位のつけ方の問題であったとみることもできます。
したがって、日本は政策決定プロセスに問題を抱えながらも、やるべきことは既に手を打ってきたわけで、日銀の金融政策もまた然りです。
あとはマーケットにおいて、コロナウイルスとは別角度からリスクが顕在化してくるといったことが無ければ、2番底は遅るるに足らず、むしろ底値からのN字チャート完成で戻りを強めていく展開も十分に期待できるかと思われます。
トランプ米大統領が言うように、経済の早期回復が実現するのであれば、それこそ米大統領選を前に相場のバブル化といったこともみられる可能性は十分にあると考えています。
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彼らはその一つとして、恐れずにトレードを実行し、また同時に軽率なトレードと恐怖心によるミスを防ぐ心構えを習得している』
(「ゾーン 相場心理学入門」より)
それでは明日も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
執筆者:加藤あきら
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