物言う株主として有名な英ファンドによる継続買いを観測
「アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッド(AVI)」(以下AVI)が、
3月31日付けで大量保有株の変更報告書を提出した事が、一部市場関係者の間で
話題となっております。
21年1月より、市場内で買い付けを行ってきた東証1部のDTS(9682)に関して、
2月12日付けの大量保有報告、3月2日付けの変更報告書に続き、3度目の報告書提出
となり、2月、3月もほぼ連日、市場内で同社株を買い続けていた事が観測されております。
①今後も市場内での買い付けを継続するのか
②継続買い付けの目的は本当に「純投資」なのか
③今後株主提案を行う可能性はあるのか
④その株主提案に企業がどのような反応を取るのか
⑤上記の①~④の流れの中で株価の動きはどうなるのか
上記①から⑤までを巡る思惑が思惑を呼び、本日は大商いか?と思いきや
この原稿を書いている午前11時時点の出来高は僅か8000株。。。
なぜでしょう?
①のように、例えば大口投資家のフロー(注文)や継続売買等に着目し
それを真似し追従して売買執行する事を、証券用語では「ちょうちん」と言います。
真似するのは往々にして売買だけなので、どのような理由で売買に至ったかを
考査・熟考する人はほとんどいません。
②についてが実は一番重要なので後述致します。
③や④や⑤に関しては当然ながら予測困難である為、
そこまでを、ご自身の投資行動の「戦略」に組み込む事も
場面場面ごとにおける売買執行という「戦術」を想定する事も
あまり意味が無い事のように思います。
機関投資家や大口投資家のフローや手口を「読んで」
個人投資家がそれを真似ようとするのであれば
真似すべきは、売買そのものではなく、売買に至った経緯
つまり、銘柄選択と売買のタイミングに至った経緯こそです。
その経緯について考査し、ご自身なりの分析や、ご自身なりの結論付けを
行う事こそが、今後のご自身の投資行動の参考になりえるわけです。
②のように、著名ファンドによる「純投資」であるならば、
ご自身による純投資に置き換えた際にも活かせる「気付き」を
内包している可能性が高いとも言えましょう。
AVIは以前、その投資基準について以下のように発言しています。
「我々が投資する際の基準は第一に割安さ、バリュエーション。そして優れたビジネスモデル。」
それを文面通りに受け取ると仮定すれば、個人投資家が真似するべきは
AVIがどのような指標を基にバリュエーション算定を行い、どのような「モノサシ」で
割安と判断しているかを、検証し、考査し、ご自身なりの結論付けを行うという
「過程」こそで、そこを飛び越して「ちょうちん買い」という、結果的な投資行動のみを
真似していると、結局は思ったような投資成果を残せなかったりしがちです。
22.3月期の業績も好調見込み、現状はPER16倍台、という面に着目すれば、確かに割安であろうかと思います。
このような状況下のうちに、コツコツと拾い続け、いずれは株主提案を行って
さらなるバリューアップを狙うという手法がAVIの常とう手段なのでしょう。
ただ、ファンダメンタル面の表面上の検証だけでは、それほど「明確に」割安とも言い切れない。。。
言い切れないから、実際に手を出すかどうかは悩む。。。
悩んでいる人が多いから、商いは盛り上がらない。。。
しかしながら、商いが盛り上がってからでは、時価総額の小さい企業の株は、思ったように仕込めない。。。
悩んでいる時間がありそうな今こそ、上記の②について、、自分なりの検証を行うのも良いでしょう。
執筆:木村泰章
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