決算シーズン対応マニュアル:決算発表直後に即投資行動を取るのは誰?
本日は「掲示板」と「PTS」について私自身の持論をご紹介する事で、機関投資家勢は、決算発表後、直ちに投資行動を取ったりしない、というお話をさせていただきます。
私は、個別銘柄の「掲示板」を普段からほとんど覗きに行きませんし、100歩譲って覗き見したとしても、その内容を投資判断の参考とする事はありえません。
証券会社勤務時代には、「掲示板」の存在さえ知らなかったほど、全く興味さえありませんでした。
個人投資家による「書き込み」の域を出ない内容は、単なる「ポジショントーク」に過ぎないように思います。
第三者の客観的な意見では無く、対象銘柄の売り買いをしている(もしくは目論んでいる)個人の主観的意見に過ぎないのです。
それらの内容が投資シナリオや投資判断の参考になるとは到底思えず、それは、私自身が個人投資家の皆様に投資助言をさせていただくようになった今現在でも全く変わりません。
機関投資家はモチロンの事、海外投資家もヘッジファンドも、システムトレードのAIも、
「掲示板」を利用して書き込みをしたり、その内容を参照する事はありえないのですから。
加えて、決算発表直後に、PTS(主要市場以外での時間外取引)を利用して機関投資家が売買を行う可能性は、限りなくゼロに近いと申し上げて宜しいでしょう。
流動性は著しく低く、そもそも、決算発表内容を精査していないうちに、直ぐに投資行動をとらなくてはならない緊急性も必要性も、機関投資家勢には無いと申し上げて宜しいでしょう。
むしろ、主要市場の通常時間の取引「外」に、PTS市場を利用して、顧客の投資資産の売買を行った事に関する「説明責任」上、緊急性と必要性を説明できないからこそ、機関投資家勢はほとんどPTSを利用しないのです。
つまり、決算発表の内容について、「掲示板」上で「漏れていた」などと勘ぐったり、慌てて売り買いを急いだり、PTSの値動きを過度に心配したり、煽ったり大騒ぎしたり一喜一憂しているのは、結局のところ一部の個人投資家だけなのです。
「決算跨ぎ」という言葉さえ、使用しているのは個人投資家だけではないかと思います。
https://1376partners.com/blog_kimura?year=2021&month=7&date=10
決算発表後に直ぐに投資行動を取る可能性のある、個人投資家以外の投資主体は、短期売買をメインに行っているようなヘッジファンド勢の一部と、証券会社の自己売買部門、自己資金のみを運用している類の資産管理会社と考えますが、いずれも、株価に対して短期間に重大なインパクトを与えるほどの投資行動は取らない印象です。
直近の実例を挙げでみましょう。
・安川電機(6506)
1月11日取引終了後に22.2月期2Q累計(3-11月)の決算が発表されました。
連結最終利益は前年同期比2.2倍の307億円に急拡大し、通期計画の425億円に対する進捗率は72.4%に達しています。
株式投資情報を配信しているベンダーからは、連結営業利益が前年同期比94%増の131億円となったものの、市場予想(約150億円)を下回った事から、「ネガティブな株価反応も想定される」とのコメントが配信されました。
「設備投資関連株への売り圧力の波及に警戒する必要がある」とさえコメントされていた模様です。
「掲示板」でも個人投資家からネガティブな「意見」が相次ぎ、PTSでも同社株は一時的に大幅安となりました。
単なる中間決算に過ぎず、決して悲観的な内容では無い印象であったにもかかわらず、です。
一方で、今回の決算発表を受けて、証券会社等のアナリストによる、安川電機のレーティングや目標株価は、下方修正どころか、本日現在ひとつも「変更」されていません。
実際の決算発表翌日(1/12)の株価推移は、寄り付きが100円安、直後に一時280円安となる場面があったものの、終値は「120円高」と「無難」な展開でした。
本日の株価推移は全体相場が軟調な事もあって深めの下落となっておりますが、個人的には、依然としてレンジ内の値動きに留まっている、という印象です。
いかがでしょう?
決算発表は恐れるに足らずです。
むしろ、ご自身の投資シナリオの実現タイミングが、早まりそうか遅くなってしまいそうかを確認するだけの「イベント」であるケースが大半で、「緊急性の高い反対売買が必要」なほどの材料やメッセージを含んだ「重大」な決算発表はというのは、むしろレアケースであると認識していただいて宜しいのではないでしょうか・・。
ポジショントークがメインの「掲示板」情報に惑わされないようご留意ください。
◎参考銘柄
安川電機(6506)
執筆:木村泰章
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