株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2022-04-30 15:00:00

アナリスト木村の銘柄研究部

GWご心配なく!:日本株保有が相対的に安全であるように思いま

投資家から広く投資資産を募って運用している機関投資家は、基本的に「フルインベスト」が基本です。
短期的にキャッシュ(現金)比率を高める場面はあっても、その比率を高めたままにしておくケースはほとんどなく、タイミングを見て再投資を行う事が常と申し上げて宜しいでしょう。

例えば、何らかのリスクイベントを控えて、いわゆる「リスクオフ」の形で「一時的に」キャッシュ比率を高めたとしても、キャッシュのままで放置していると、「インベスト」してないじゃないか!という顧客からのクレームが来るのは明白です。
運用報酬を徴収しているのですから、運用=インベストを行わなければ、顧客は納得しないわけです。
(キャッシュのまま保有する事も重要な運用方法のひとつであるという意見もありますが。。。)

一時的な「リスクオフ」を経てキャッシュ化された資産は、リスクイベントを通過した後に同じ投資対象に再投資されるか、もしくは、「異なる」投資対象に新たに投資される事となります。

例えば、「日本株成長株ファンド」と謳っているような投資信託の場合は、一時的にリスクオフしても再度日本株に投資する必要がありますが、「世界の成長株ファンド」と謳っているような投信であれば、米国株を売って日本株を買う、といった資金シフトも可能です。
「株」と謳っている限り、「新たに」債券や実物資産への投資比率を引き上げるわけにはいかず、「異なる」投資対象も「株」である必要があるわけです。

「世界の成長株ファンド」のような、グローバル運用を行っている投資家は、投資先を考慮する際に、「期待リターン」だけでなく、「安全性」も同時に鑑みる事となります。
「カントリーリスク」が高い国には、仮に高リターンが見込めたとしても、投資は行わない事が一般的です。
「カントリーリスク」の格付けを行っている機関は複数ありますが、細かく精査する必要性は低く、一般論として「危険」と思われる国や地域を避ける、という程度で充分でしょう。
一般的には、ロシアや北朝鮮に投資を行おうという投資家は、顧客説明という観点からも、ごく少数でしょうから。。。

となると、地政学リスク、地理的にも政治的にもリスクが低く、軍事的及び社会的な緊張からも遠い日本は、「有事」の際ほど「安全面」での優位性が高いと言えましょう。
もうちょっと乱暴な申し上げ方をするなら、やや不謹慎かもしれませんが、「有事」が続けば続くほど、日本の安全面での優位性が際立ってくるようにさえ思う次第です。

オイルマネーが今年に入って、日本の情報通信セクター、中でもゲーム株を大量保有し始めた事は、既に会員様各位に繰り返しご紹介申し上げましたが、それも、単なる期待リターンだけではなく、地政学的な安全性をも鑑みたゆえの投資だったように考えます。

となりますと、グローバル運用の資産は、まだまだ当分の間、日本を目指して流入が続くように思う次第です。

機関投資家勢は、「割安」かどうかよりも、「成長性」こそを投資基準の上で重要視する傾向がありますが、同時にリスクコントロールにも敏感なので「安全性」を軽視するわけではありません。

最後に、直近の世界の株価指数のPER水準をご紹介して、日本株は「安全」であるうえに「割安」でもあり、ゆえに、今後も日本株への資金シフトの動きが期待できる、とお伝え申し上げたいと存じます。

◎4月実績PER(出所:Bloomberg)
・日経 15.28
・NYダウ 18.78
・NASDAQ 51.82
・FT100 15.75
・DAX 14.49
・ハンセン 7.98
・上海 13.56
・ロシア 3.11

◎4月22日時点の米国株価指数PER(出所:stock-marketdata.com)
・NYダウ:実績PER19.36 予想PER18.04
・NASDAQ 100:実績PER 31.15 予想PER 24.75
・S&P 500:実績PER 24.9 予想PER 19.35
・ラッセル2000:実績PER 67.96 予想PER 22.93

◎4月22日時点の日経平均予想PER 13.02
*日本では予想PERが重視され、米国では実績PERが重視される傾向があります。

◎3月時点のTOPIX 予想PER22.0

◎付録
ゴールドマンサックスはS&P500の年末予想を5100⇒4900⇒4700と1か月間で2回引き下げ(3月半ば)。
インフレが高止まりし利上げ回数が想定以上となれば、S&P500は12%安の3900に下落、
引き締めで米経済がリセッション(景気後退)入りすれば3600もあり得ると指摘。
一方、インフレが早期に収まり利上げ回数が少なければ5500に上昇すると予想。

皆様、楽しく、安全なGWをお過ごしください。



執筆:木村泰章

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