花:2話完結Part.2
かなりくだけた内容ですが、週末・休日版という事でご了承いただき、お付き合いください。
義理の甥の葬儀には、平日の昼間にもかかわらず、数百人の方々にご参列いただき、滞りなく執り行う事ができました。
「田舎だから、参列くださる方々は、かなり早い時間にお越しになる」と聞いてはおりましたが、お昼の12時からの告別式には、11時過ぎ頃から多くの方々がお越しになり、ピークは11時半から12時ちょっと過ぎ。
「●●の地域では、葬儀には始まる1時間前に行くのが慣習で、開始時間には終了している事が多いらしい」とも聞きました。
13時には告別式が終了し、続いて親族のみで初七日の法要を執り行う段取りでしたが、参列者が途切れた13時前には、「お花屋さん」がお寺の本堂の外に飾ってあった花を片付け始めました。
私:「すみませ~ん、このお花は全部処分しちゃうのですか?」
お花屋さん:「ええ、まぁ、そうなりますね」
私:「全部とは言いませんが、少しいただく事は可能でしょうか?」
お花屋さん:「はい、是非どうぞ」
私:「親族のお墓にお供えしたいんですが、ちょちょっと切り揃えていただけます?」
お花屋さん:「もちろんです」
そのお寺には妻の一族のお墓が幾つかあり、自身の不精から滅多にお参りする事ができていなかった私は、せめても、との思いから、ものの数分で綺麗に整えていただいた花の束を4つほど手にして、お墓の場所を親族に尋ねました。
そろそろ初七日の法要を執り行うから本堂に来るように、と義理の姪が私を呼びに来ました。
「やす(私の愛称)、何やってるの?」
「お花を切り揃えてもらったから、おばあちゃんのお墓にお供えするんだよ」
「いいね。私も手伝う」
なかなか本堂に戻らない私と義理の姪を、今度は義理の兄(喪主)自身が呼びに来ました。
「そろそろ始めるよ」
と言って先に戻った義理の兄は、なにやらお花屋さんと話をしておりましたが、追いついた私と義理の姪と共に本堂に入り、初七日の法要が始まりました。
驚いたのは、初七日の法要が終わって本堂の外に出た時です。
幾つかの段ボールに、白い包装紙に包まれた花束が優に50束くらい用意されていました。
お花屋さん、やり過ぎだけど、笑 ありがとう。
きっと、先ほど初七日法要の前に義理の兄がお花屋さんに頼んでくれたのでしょう。
親族は各々それらを持って散会しました。
大量に余ったはずですが、きっと、お寺が「よしなに」ご対応くださったものと信じています。
一足先に東京に戻った私は、その足で亡き父のお墓に向かい、いただいてきた花を供えました。
生前の父の口癖は「グローバルに活躍できる人間となれ」でした。
でも、私の姿勢はちょっと違います。
「Think global, act local=グローバルに考えながらもローカルに行動する」事こそを目指したいと思っている次第です。
1話でお話申し上げたとおり、私の立場は、今まで「部外者」だったからこそ、地方に今何が必要であるか、地方の本当の魅力はどこにあるのか、そこを理解できるような気がしています。
そんな考えを再認識できた事も、若くして来世に旅立った義理の甥が最後に残してくれた、素晴らしい贈り物であったように思います。
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執筆:木村泰章
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