コマツの大幅下落は何かを暗示しているのか?
電力不足を背景にエネルギー・資源関連株は「期待先行ぎみ」に大きく上昇しておりましたので、原油価格の下落を受けた本日の日本の株式市場で、東京電力(9501)が6%超安と下落したり、三井松島(1518)が8%超安と下落したのは、なんとなくうなずける動きではありました。
一方、なぜ大幅に下落したのか、誰が売ったのか、合点がいかない印象だったのは、コマツ(6301)と日立建機(6305)の下げでした。
いずれも5%超の下落で、この2銘柄だけに着目すると、日経平均は500円以上下落していてもおかしくないような「体感」でした。
コマツと言えば中国です。
確かに、中国で新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、上海市ではクラスター(集団感染)が発生、再ロックダウン懸念を指摘する報道もあったのですが、
個人的には、コマツと日立建機の下げは、「海外投資家勢」による「資金シフトリバランス」ではないか、と捉えております。
では、「何に」資金シフトしたのか?
こちらも会員様各位におかれましては既にお馴染みの「アレ」です。
・ネクソン(3659)2.29%高
・コーエーテクモ(3635) 2.22%高
・カプコン(9697)3.94%高
ゲーム?
いえ、「ゲーム」という「カテゴライズ」だけでは説明できないように思います。
ゲームセクターは、高安まちまちだった印象です。
・コナミ(9766)3.54%安
・セガサミー(6460)0.45%安
では「誰が」「何に」買いを入れていたのでしょう?
はい、ネクソンもコーエーテクモもカプコンも、「PIF大量保有銘柄群」ですね。
さて、もうひとつ、本日の株式相場の中で、違和感を覚えている方々も少なかろうと想像しているのが、終日堅調だったマザーズ指数です。
終値は1.95%でしたが、ほぼ2%どころがキープされていた印象で、言い方を換えると、
「マザーズ指数の2%高をキープするような買いが入っていた」と見る事もできましょう。
これらを総合して推察すると、「ソブリンファンドやソブリンファンドに準じるような海外投資家が」、「主力級大型株を売る一方で、中小型グロース株を買った」という背景が見えてくるような気がします。
コマツの下げも、主力級大型株の下落も、カプコンの上げも、マザーズ指数の強さも、海外投資家勢による「資金シフト」の一環と見るのが、最も頷けるような市況説明であるように思う次第です。
一方で、逆説的に、「今週末に控えているETF分配金捻出の為の相場下落を警戒した先回り的な売りが出た」という市況説明は、個人的には「?」という印象で、正直なところ、あまり同意できません。
コマツをはじめ主力級大型株の下落はむしろ、海外投資家勢による「リスクオフの一環」という印象で、とはいえ、「リスクオフ」であれば、中小型グロース株が堅調推移であった事の説明がつきません。
やはり、本日の株式市場の動きは、海外投資家による資金シフトの動きが、「過剰反応的に拡散した」と見るべきかと存じます。
単なる「資金シフト」の影響であれば、「一過性」の可能性、もしくは「限定的」である可能性が考えられ、ここからの全体相場の動きとしては、「切り返し反転」を想定しておくべきだろう、と考えております。
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執筆:木村泰章
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