7月機械受注統計:機械セクター全般の株価は全体相場に先行して上向く可能性も
内閣府が14日に発表した7月の機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は前月比5.3%増、前年比は12.8%増となりました。
2カ月連続のプラスです。
ロイターの事前予測調査では前月比0.8%減が予想されておりましたが、結果はこれを上回った形です。
機械受注の基調判断については、前回同様「持ち直しの動きがみられる」で据え置きました。
▼令和4年7月の機械受注実績概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/juchu/2022/2207gaiyou.pdf
事前予想が前月比マイナスだったのに対し、前月比ベースでも前年比ベースでもプラスとなった点はポジティブサプライズだったものの、本日の株式市場が大幅安となってしまったために、機械セクターの株価も総じて軟調。
業種別株価指数の「機械」を構成する144銘柄も、数銘柄を除いてほぼ全面安の展開でした。
9月12日には日本工作機械工業会から8月の受注速報も発表されています。
受注総額は前月比で2.1%減、前年比で10.7%増でした。
7月の受注総額確報値は前月比7.9%減、前年比で5.5%増でしたので、7月比で前月比ベースの減少率は縮小し、前年比の増加率は増大しています。
内閣府の見解どおり、機械受注の基調は「持ち直しの動きがみられる」と捉えて宜しいものと考えます。
一方、足元の機械セクター全般の株価推移はまちまちで、切り返し基調が鮮明となりつつある銘柄もあれば、依然として底値圏での保ち合いが続いている銘柄もあります。
あくまでもイメージ先行の見立てではありますが、工作機械銘柄群は横這い感が強く、産業機械よりも自動車向け機械銘柄群は切り返し基調が鮮明、という印象です。
株価推移面では全般的に、「持ち直し」というよりも、「底堅い」という状態からなかなか上振れしない状態が続いているように思います。
会員様各位が既にご存じのように、機械セクターは「景気敏感セクター」と目される事が多い為、一部の市場関係者から指摘されている、「米国発の世界的な景気後退」というシナリオを鑑みるのであれば、機械セクターのアタマの重さはその予兆なのかもしれません。
しかしながら個人的には、もうちょっと違う見方をしています。
過去1年以上にわたって、機械セクターの株価が低迷したのは、既にその時点で「景気後退」というリスクシナリオを、「早過ぎる」くらいに織り込んでしまい、ゆえに足元では、「持ち直し」だったり「底堅い」局面にあるのではないでしょうか?
つまり、「敏感」だからこそ「周回遅れ」で下落に向かうのでなく、「敏感」すぎるからこそ「周回先行」気味に、株価は上向いてくる可能性もあると考えている次第です。
サプライチェーンの滞りの解消により部材調達が正常化し、半導体不足も改善に向かい、
原材料の高騰も一服し、輸送コストの増大も価格転嫁が進み、まずは自動車生産の回復を受けて、機械セクター全般は「周回先行」して上向くというシナリオこそを、個人的には念頭に置きたいと存じます。
執筆:木村泰章
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