なぜ大手警備業銘柄群の株価は今ひとつ冴えないのか?
安倍元首相が銃撃されて以降、要人警護の必要性が指摘され続けていた一方で、実際には、絶対的に安全な警備というのは不可能であるような気もします。
なんでも材料視してしまう株式市場ですから、当然ながら警備関連銘柄群に物色の矛先が向かったものの、代表的存在と目される、セコム(9735)とALSOK(2331)の株価推移は今ひとつ冴えない印象です。
折しも、大阪IR整備計画が政府に正式認定され、その「現場」となる大阪、夢洲では2025年に大阪万博が開催される事から、弊社では、大阪万博関連銘柄には従前から注目し、その幾つかを既に推奨させていただきました。
先の東京オリンピックに関連した企業・銘柄群が、大阪万博関連としても再度物色されるであろう、という事は想像に難くないハズですし、セコムもALSOKも当然ながら、万博、その後のIR整備計画においても、追い風を受けるものと推察されます。
詐欺や強盗グループによる、高齢者や富裕層を狙った犯罪のニュースも、大手警備業に対する需要増を予感させるに充分な事象でしょう。
つまり、「背景」も「テーマ性」も「材料」も、警備業界全般にとっては豊富である印象です。
あくまでも、私見である、という点はご了承いただきたいのですが、セコムとALSOKの株価推移が今ひとつ冴えないのは、幾つかの「共通項」による「ネガティブイメージ」が原因では無いかと考えています。
最も典型的な「共通項」は、尋常とは思えないほど巨額の「利益剰余金」です。
セコムの利益剰余金はなんと1兆円超で、ALSOKも2000億円超の利益剰余金を有しています。
例えば、トヨタは「利益剰余金」を27兆円超有している一方、有利子負債も28兆円ありますし、ソニーも「利益剰余金」を4400億円超有している一方、有利子負債も3800億円あります。
しかしながら、「利益剰余金」を1兆円超有しているセコムの有利子負債は430億円程度しかありません。
この点が「尋常とは思えない」理由です。
ALSOKはホームページ上の「株主還元」のセクションで、内部留保について、「将来の成長・発展に必要な研究開発費、情報システムの高度化や新規事業のための設備投資等に充当し、業績の改善および株主・投資家の皆様にとっての企業価値の一層の向上に努めます」と説明していますが、投資家がALSOKほどの大企業に求めるのは、もはや「企業価値の一層の向上」では無く、「尋常ではない」ほどに積み上がった内部留保があるのなら、
もっと「株主に還元する事にこそ注力せよ」、と考えているのかもしれません。
もうひとつの「共通項」は、2社ともに「機械警備(システム警備)」が業態の主力となっている点です。
セキュリティーに関する日本国民の認識と需要が拡大する事により、カメラやセンサーを設置するという「備え」は進んでいるものの、冒頭に申し上げたとおり、実際には、絶対的に安全な警備というのは不可能であるとの印象で、かつ、システム警備が、イザという「有事の際の瞬時の対応」をもカバーしているわけではありません。
「備え」は大事だとしても、「有事の際の瞬時の対応」は結局のところ「人力頼み」なのかもしれません。
「ビジネスや企業を守る」事よりも、「人命こそを守る」という需要の方が増しつつある現在の世相は、もはや「備え的な」セキュリティー体制では、安心も満足もできないとの潮流をも生み出しているような気がします。
万博や大型イベント等の警備では、結局のところ「警備員」を大量に配置する必要がありましょう。
もちろん、防犯カメラやセンサー等の「備え」も必要なのでしょうが、結局は人力による「抑止力・対応力」こそが求められる事でしょう。
となると、人件費増から、「機械警備(システム警備)」よりも利益率は低下してしまうハズ。。。
大手警備業銘柄群への、「テーマ性」重視の飛びつき買いは「キケン」との印象である事をお伝え申し上げます。
執筆:木村泰章
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私のコラムで紹介した銘柄
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◆ソシオネクスト(6526)
昨年11月にご紹介した際の株価は5770円。緩やかに右肩上がりの上昇が続き、本日は一時昨年来高値となる10680円まで進みました。
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単発スポット銘柄の見解
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◆≪木村泰章のザ・カリナンダイヤ銘柄(****)≫
当然の切り返し。
ご心配無く。
そろそろ買い増し目線でまいりましょう。
◆≪木村ゴールド会員銘柄(****)≫
大幅高後のちょっと一服。
ご心配無く。
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