株価の不思議:誰が大林組(1802)を買っているのか?
23.3月期の連結経常利益は前の期比2倍の1008億円に拡大しましたが、今期は前期比21.6%減の790億円に減る見通しとなり、決算発表前日まで株価が上昇傾向にあった事もあって、11日後場の株価は急落、翌日も売り優勢でスタートしたものの、その後は自律反発を見せて結局プラス圏で取引を終了しました。
その後、終値ベースでは5月18日のみマイナスとなったものの、5月12日~5月22日までは切り返し基調が鮮明となり、株価は概ね決算発表前の水準にまで回帰しています。
5月22日の終値は1155円で、PERは15.05倍。
過去1年のPER水準が概ね9倍台、20年~21年は7倍台での推移が続いた点も鑑みると、今期2割減益でPER15倍台というのは、どうしても割高感を払しょくできないような印象です。
では、誰が買っているのでしょう?
直近の大量保有(変更)報告に目立った「買い増し」は観測されていません。
同社株の安定性を疑う点は無い一方、グロース性を有しているとも思えず、やはり、典型的なバリュー銘柄と見るべきでありましょう。
決算発表前の株価上昇は、同社株の個別要因に着目した買いでは無く、あくまでも、全体感に牽引されたものとの印象であり、同様に、決算発表後の切り返しも、全体相場の上振れにより、インデックス買いに引っ張られたものと推察します。
あくまでも私見ではありますが、言わば「万年割安株」だった大林組が、割高と思われる水準まで買われた背景は、いわゆる「持たざるリスク」を回避する為の、「消去法的な買い」と考える事が最も妥当であるように思います。
日経新聞等でも指摘されていたとおり、外国人投資家からは、消去法的な目線によって、日本株への買いが継続しており、
では何を買うかという投資対象としては、まずは、主力級大型株をインデックス買いしておく。
割安投資家の雄、バフェット氏が日本株に追加投資を行うのであれば、結局のところバリュー株を狙うのであろうとの「思い込み」の影響もあるかもしれません。
日経平均はじめとする株価指数には、足元で過熱感が指摘され始めています。
大林組のような、主力級の大型バリュー株も、割高と思われる水準まで買い進まれています。
つまり、高値警戒感はあるものの、それ以上に、「持たざるリスク」こそが警戒されていると見て宜しいでしょう。
弊社では主力級大型株物色から「溢れ出した」資金の「受け皿」として、中小型成長株・グロース株群こそが今後物色されるものと見ており、上掲のような過熱感が意識される事から、今後は、中小型成長株・グロース株に対する、物色シフト・資金シフトが徐々に進むものと考えます。
足元では、まだ散発的な状態ではあるものの、中小型成長株・グロース株が「日替わり物色」され始めているように感じております。
ここからの投資対象として妥当と思われるのは、大林組のような典型的なバリュー銘柄の上値追いではなく、主力級大型株群から「溢れ出た」資金の受け皿として機能しそうな、中小型成長株の個別銘柄の切り返し時の追従買いであろうと考える次第です。
このシナリオに自信を持って取り組んでまいりましょう。
執筆:木村泰章
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◆伊藤忠テクノソリューションズ(4739)
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◆ホクリヨウ(1384)
鳥インフル拡大を受けても、今期経常16%増見込みと強気。
株価は2月高値に迫る勢いです。
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単発スポット銘柄の見解
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◆≪木村泰章のザ・カリナンダイヤ銘柄≫
まだまだイケます。
今週は利食い売りではなく、買い増しポイントこそを探ってまいりましょう。
年内3000円との見込みは、大幅に前倒しで実現する可能性もアリと見ます。
◆≪木村ゴールド会員銘柄≫
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引き続き出来高面の増加を待ちましょう。
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