不祥事は【買い】なのか【売り】なのか?
ビッグモーターの不祥事から飛び火した形で、ネクステージ(3186)について不祥事疑惑が報道されたのは9月6日の午前中。
8月23日には会社側から、自動車業界での不正車検や保険金水増し請求の問題を受けて社内調査を行った結果、「不正な案件については確認されなかった」と発表していた後だったので、9月6日以降の株価は失望売りとリスク回避の売りで下げ幅が一気に拡大しました。
9月11日の夜に社長辞任が発表され、株価は9月13日に一旦底打ち反転しますが、10月2日の取引終了後に3Q決算発表と共に通期業績下方修正を発表。
決算発表説明会で、同社で発覚した保険契約の偽造に関しては、最終消費者に不利益を与えるビッグモーターとは性格が異なるとし、金融庁や国交省から現時点で問題などは指摘されていないとの説明を受け、株価は2000円前後の水準で下げ渋る展開となっています。
9月25日に提出された大量保有(変更)報告により、同社株を9.12%保有していたキャピタル・リサーチ・アンド・マネージメントは、8月31日(前回の変更報告日)から9月15日(報告義務発生日)の間に保有していた7,362,750株を全て売却した事が明らかになりました。
このニュースは広く報道され、概ね、アセットオーナーに配慮しての投資行動であろうと指摘する向きが多かった点には、私も個人的に同意・賛成です。
しかしながら一方で、同社株を今年に入ってから買い増し続け、不祥事が明らかになった後も継続保有している大手機関投資家が存在する事は、ほとんど報じられていません。
ティー・ロウ・プライスです。
「成長株投資の祖」とも目される米国の大手ファンドです。
9月13日には、同社株の保有比率が5.71%⇒6.15%へと増加した旨の大量保有(変更)報告を行っています。
報告義務発生日は9月6日、日本国内パート(ティー・ロウ・プライス・ジャパン)と海外パートでいずれも6%超ずつ保有しています。
キャピタル・リサーチは優良株に長期投資をすることが多い、いわゆる「正統派」の巨大ファンドです。
スタンス的には「割安株投資」を基本としていると目されます。
一方でティー・ロウ・プライスは上掲のように「成長株投資」を得意としており、過去の大量保有(変更)報告から読み解くと、買い増しのタイミングに関しては「下落局面の突っ込み買い」も行っている事を確認できます。
ネクステージの9月の下落局面は、キャピタルの売りによるところが大きい、との見方が市場関係者の間では一般的ですが、実は8月31日から9月15日の間の同社株の出来高は累計でおよそ1億7千万株に及び、キャピタルの売却数7,362,750株はおよそ4%ほどにしか相当しません。
言い方を換えれば、残り96%は大株主以外の「見切り売り」です。
あくまでも私見ですが、これは、いわゆる、「セリングクライマックス」的な現象とも見て取れるように思う次第です。
不祥事は買いなのか売りなのか、一概には申し上げられません。
ただし、セリングクライマックスのような、過剰反応もが観測されれば、当面の悪材料は出尽くしとも捉えられましょう。
ネクステージを買いましょうとは申し上げるつもりはありませんが、「王道の割安投資の見切り売り」が勝つのか、「成長株投資の突っ込み買い」が勝つのか、
大いに注目に値しましょうし、こんな事象にも、会員様各位の投資スタンスに影響やヒントを与える材料があるんだ、という事をご指摘したいと存じます。
個人的には、「成長株投資の突っ込み買い」が勝って欲しいし、そこにこそ、株式投資の醍醐味と夢があるように思います。
「常に強気、いつも冷静」でまいりましょう。
執筆:木村泰章
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個人的に注目している銘柄
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◆スマートドライブ(5137)
終わった期は赤字縮小、今期は黒字転換が期待されます。
一方で、株価は未だ安値圏。
突っ込み買い目線で監視中です。
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私のコラムで紹介した銘柄
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◆中野冷機(6411)
3月半ばに5400円どころでご紹介し、高値は9月26日の7340円。
全体相場の下落の影響は受けたものの、6700円前後で下げ止まった印象です。
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単発スポット銘柄の見解
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◆≪木村泰章の一粒万倍銘柄≫
昨日までの連騰の反動で、3連休前の一服と捉えております。
小休止後の来週の動きが楽しみです。
◆≪あすなろダイヤモンドセレクト銘柄≫
力強い切り返しで、5日・25日・75日の各移動平均線を一気に上回り始めました。
底入れ完了との印象です。
◆≪ザ・ヒルズバブルマネー銘柄≫
こちらも昨日、商いを伴って力強い切り返しとなり、本日もこじっかり。
来週は75日移動平均線の上抜きに挑む事となりましょう。
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