どこまでがアジア?:日本市場の安全性は揺るがない
しかしながら、今や一般的・世界的には、外務省が「中東」と位置付けている地域も、「西アジア」と見なす傾向が強まっています。
例えばスポーツの世界、直近行われた「アジア競技大会」では、「西アジア」の国々もアジアとして参加しており、サウジアラビアも、シリアも、クウェートも、さらにはパレスチナも国として参加を果たしています。
一方、イスラエルはヨーロッパオリンピック委員会に加盟しており、スポーツ全般の国際大会では「ヨーロッパ枠」です。
ただ、イスラエルと隣接するシナイ半島の地域はエジプトの一部なので、エジプトをもアジアの西端と見なすと、う~ん、正直あまりピンとこない気もしますが。。。
では「アジア市場」と言うと、一般的にはどこが「西端」と目されるかご存知でしょうか?
私が証券業界に身を置くようになった'90年頃は、「アジア市場はアラブも含む」という解釈が既に一般的でした。
ゆえに、サウジアラビア、UAE、さらにはイスラエルも「アジア市場」という認識で宜しいように思います。
となると、ハマスによるイスラエルの攻撃は、今のところ、アジアの主要市場と日本の株式市場に対する影響は「軽微」と見ますが、「日本から遠い中東のお話」で片づけるワケにもいかないのかもしれません。
ハマスやパレスチナの背後にイランの関与が疑われたり、米国が直接イスラエルの軍事的擁護に踏み切ると事態は悪化するかもしれませんが、それでも、米国や日本の株式市場に対する影響は限定的と見ます。
むしろ、「消去法的」な「安全市場」としての日本の株式市場の存在感が、ますます強まる可能性さえありえましょう。
「中東有事で日本株リスクオフ」という連想は、既にひと昔前の考え方と申し上げても宜しいかもしれません。
いわゆる「オイルマネー」と呼ばれる、アラブ諸国のソブリンファンドは日本株への投資も行っており、その姿勢を後退させるどころか、今後強めてくる可能性さえあるものと見ております。
地政学リスクの高まりで、日本株にリスクオフの動きが出るという懸念は、今のところ無用でありましょう。
執筆:木村泰章
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