さよならマザーズ指数:2話完結コラムPart.1
市場再編によって、東証マザーズ市場は廃止されるわけですが、マザーズ市場の主役は、将来的な成長が期待される銘柄群こそを投資対象とする個人投資家層であり、市場再編後も、個人投資家層の動向を反映する指標として、グロース市場指数以上にマザーズ指数こそが重要指標視される傾向が続いておりました。
マザーズ指数の算出が始まったのは、2003年9月12日で、その際の基準値が1000ポイントです。
直近の高値は2020年10月の1368.19、対して安値は同年3月の527.30でした。
マザーズ指数の構成銘柄は、定期的に入替えが行われ、2022年10月の定期入替の結果除外となる銘柄については段階的ウエイト低減銘柄とされ、2022年10月最終営業日から四半期ごとの最終営業日に3段階で構成比率が調整されて、2023年4月最終営業日に除外されました。
2023年4月28日時点でのマザーズ指数構成銘柄は下記のとおりです。
https://www.jpx.co.jp/news/6030/cg27su0000005tl6-att/hp_j.pdf
直近のマザーズ指数構成銘柄の定期選定は、2023年10月6日に公表され、10月31日に実施されました。
新規上場6銘柄を含む26銘柄が追加された一方、除外銘柄は84銘柄に及び、入替後の構成銘柄数は258銘柄。
これらが11月6日からの「東証グロース市場250指数」の構成銘柄となります。
https://www.jpx.co.jp/markets/indices/line-up/files/mei2_31_mothers.pdf
21年12月以来1度も1000ポイントを上回れなかったマザーズ指数は、22年4月の市場再編以降も、世界的な金利の上昇などを受ける形で苦戦。
23年6月の高値871.35ポイント以降の下落局面、特に9月以降のマザーズ指数の下落の背景は、結果的に、指数廃止に関わる「不確実性=リスク」を回避したいという、心理面/需給面からの投資マインドの後退局面に、全体相場の地合い悪化が重なってしまったものと見ます。
もちろん、中小型成長株群の中には、短期的/一過性の動きで株価が大きく上昇する銘柄もあったものの、「大勢」を示すマザーズ指数自体が、上述のとおり22年1月以降1度も1000ポイントを上回れなかったわけですから、中小型成長株群こそをメインに株式投資に取り組まれてきた個人投資家勢のパフォーマンスも、悩ましい状況が続いてきたものとお察しする次第です。
しかしながら、中小型成長株群のこれから先の【逆襲】が期待できるとの弊社の見通しに変更はございません。
いよいよ、長らく続いた「ご辛抱の時間」は終焉を迎えるものと見ます。
本来であれば、マザーズ指数が廃止され、より実勢を反映しやすい「「東証グロース市場250指数」へと改善される事が、今年の5月には市場認知されうる状況となっていたわけですから、「先行指標」的側面が強いハズの株価指数は、5月以降のタイミングで大きく切り返しても不思議ではなかったように思います。
今になって振り返るのであれば、様々な複合要因の影響を受けたものの、結局は「世界的な金利の上昇」よりも、メインの参加者である個人投資家層の「投資心理の悪化」こそが、マザーズ指数の下落傾向に歯止めがかからなかった主因的背景と捉えています。
新しい「ビークル=乗物」へと変わる事を機に、個人投資家層をも含む投資家全般の、中小型成長株群に対する「再評価」機運は高まってくるものと期待致しましょう。
執筆:木村泰章
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