鴻池運輸（9025）

鴻池(こうのいけ)と読む。陸運だけでなく、メーカーの生産業務の受託も。つまりモノを運ぶ「前」と「後」そして「その間」を含めた業務工程まで幅広い事業を展開しているということだ(「統合革新」)。運送を主体とする競合他社は、来年から施行される残業時間の規制により、様々な業務の改善が求められ、一時的に業績面で苦戦が見られるかもしれない。しかし、教科書的な事業の多角化を実施した同社ならば、業績面の極端な不安は少ないだろう。それが株価にも好影響されると見る。

今期の営業利益は過去最高を記録した前期の約132億円を上回る143億円の見通し。上半期は国際旅客便の復便が寄与し、会社計画値を上振れ。長期的な事業戦略に伴う改革費用が発生したものの、通期ベースでは増益シナリオを維持する予定であり、下期の下振れ着地に期待ができる。上期と同様に国際旅客便の需要に加え、残業規制により需要を取りこぼした他社の案件を獲得することで、そのシナリオの実現性は更に高まるだろう。

週足で見る株価は、昨年4月に安値1054円を付けて底打ち後は上昇へ。前期決算発表後に調整したものの、今年の6/2週を底に急反発が見られ、9月に高値2119円を付けた後はもみ合い商状。下値は26週線が支えていると見られ、抵抗線の13週線も徐々に抜けつつある。そして心理的な節目である2000円をクリアすれば、今後の業績向上期待も相まって9月高値の奪還が年内に期待できるかもしれない。リバウンド時のモメンタム(勢い)をキープできれば、それは不可能ではないと見ている。