騰落レシオの120以上水準を過度に懸念する必要無し
足元で120水準でウロウロしている騰落レシオから、そろそろ買われ過ぎと見て、高値警戒感こそを指摘する市場関係者が増え始めているように思います。
しかしながら、私は個人的に、騰落レシオ自体も、騰落レシオの120以上への切り上がりも、全く懸念視していません。
そもそも、騰落レシオは、旧東証一部の全銘柄が対象とされていましたので、日経平均に準拠する指標では無く、TOPIXとの相関性こそに着目する指標であろうと捉えています。
さらには、従前から、「買われ過ぎの判断」材料とするには難しく、一方で、「売られ過ぎの判断」材料としてはワーク(機能)しやすい、事が指摘され続けてきました。
つまり、騰落レシオの規則性や先行性は、「あまりアテにはならない」程度のものと捉えています。
日経平均もTOPIXも、9月15日が今年の高値圏と目されていますが、この9月の騰落レシオの推移を見れば、「騰落レシオ120は恐るるに足らず」という事がご納得いただけるかもしれません。
日経平均の25日ベース騰落レシオは、9月1日に121.10を付けた後、9月25日の高値141.18を経て、9月27日の132.14まで18日間連続で120を上回っていました。
しかも、上述のように、日経平均とTOPIXが高値圏に進んだ後に下落に転じたにもかかわらず、騰落レシオの9月高値は9月25日なのです。
となれば、騰落レシオの推移は、少なくとも、日経平均の先行き分析に使える先行指標では無い、と申し上げても宜しいように思います。
今年の夏以降に限って考察してみると、25日ベースの騰落レシオよりも、日経平均の高値追い局面に対して、「先行性」が認められるのは、むしろ、10日ベースの騰落レシオの方です。
7月25日に120を超えて7月31日に162.20まで進んだ翌日、8月1日の日経平均の高値は33,488.77。
9月のケースでは、8月29日に120を超えて、9月4日に232.97まで上昇し、9月15日まで120超水準がキープされて、9月15日の日経平均の高値が33634.31となりました。
足元で25日ベースの騰落レシオは11月29日に120を超えましたが1日だけ。
10日ベースの騰落レシオは11月22日・24日・28日に120超えとなったものの、さほど過熱感は見られません。
もっともらしく、「騰落レシオの120以上の水準は買われ過ぎ」などと言う市場関係者の解説に惑わされないようにしていただきたいと思います。
執筆:木村泰章
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