イチカワ（3513）

紙・パルプ用フエルト国内2強。抄紙(さし)と言うと耳慣れない言葉であるかもしれないが、これは紙をすくことを指す言葉だ。同社は製紙などの過程において湿紙の水分を搾り紙肌を滑らかにする「抄紙用フエルト」に強みを持つ。更に同社では抄紙用フエルト、スレート用フエルト、抄紙用ベルト及び 工業用フエルトの製造・販売を行っており、抄紙プレスパートを包括、一貫して扱う事ができる。抄紙プレスパートの総合ソリューションカンパニーとして、高い技術力と品質、グローバルな展開、環境への配慮で、同業他社との差別化を図っている。

2024年3月期決算では売上高136億300万円(前期比1.9％増)の増収、経常利益11億6800万円(同11.9％増)の増益で着地。これは同決算内によればデジタル化やペーパーレスなどの紙需要の低下を見越した抄紙用フエルトのコスト競争力を強化を図り、生産体制の最適化が奏功したとのこと。AIのXENOの分析でも同社の4四半期後の経常利益は130.16％(0.7億円)増と、大幅増益を予測しており、同社の堅調さを示す材料の1つとも見れるであろう。

株価は5/15、16と窓開けての下落。節目1600円付近で下げ止まり、その後は底堅く推移してきた。現在は開けた窓を順当に埋めて上昇してきているが、25日線と100日線が頭上に横たわり、抵抗線として意識され上値を抑える形になってきそうだ。ただRSI(相対力指数)は40％以下と売られ過ぎの水準を少し抜けたばかりであり、回帰トレンドも上向きで推移。同指数の-2σを下から上抜けているタイミングである事を考慮すれば順張りのスタンス継続も検討の余地は十分あると見る。