・大企業製造業DI：9月+13⇒12月+14⇒先行き（25.3月）+13
　コンセンサスは　9月+13⇒12月+12⇒先行き（25.3月）+11くらいだった印象です。
・大企業非製造業DI　9月+34⇒12月+33⇒先行き（25.3月）+28
　コンセンサスは　9月+34⇒12月+33⇒先行き（25.3月）+35くらいだった印象です。
・想定為替レートは9月調査のドル/円145.15円⇒146.88円と円安方向に振れました。

ほぼ想定線ながら、大企業製造業DIがプラスだったのはポジティブサプライズでした。
逆に、ネガティブサプライズは、大企業製造業/大企業非製造業共に先行きはやや改善見込みだったところ、特に非製造業が大きくマイナスとなった点。

あすなろは、韓国政局の混乱から、インバウンド関連が悪影響を受けるとの見通しを、既に全体フォローやコラム等でご紹介済みです。
ラーメン屋株の下げたところを買ってやろう、なんていうスタンスはキケンと申し上げて宜しいでしょう。

今回の短観で、大企業製造業DIが、誰も予想していなかったプラスとなった背景は、やはり「円安」が機能したものと考えて宜しいでしょう。
となると、来週の日銀政策決定会合では、大方の市場関係者の読みどおり、利上げは見送られるでしょう。
ひょっとすると、1月の利上げも見送られるかもしれません。

ご参考までに、12月10日に配信された、欧州系大手証券会社の「利上げ無し」との見解をご紹介しましょう。
同証券会社は従来、来週木曜(12月19日)の金融政策決定会合で、政策金利を現在の0.25%から0.5%に引き上げると予想していました。
それを変更した理由は下記の3点です。

1.市場参加者の見解が、足元で急速に「据え置き」との見方に変更している点。
2.政治的配慮が以前にも増して重要視されているとみられる点。
3.1月の決定会合を前に氷見野副総裁の講演が予定されている点。

上掲の1は、正直なところ、「付和雷同」的ですから合理的理由にはならないものと見ますが、2と3はサスガ！という感じです。

同証券会社は、現在、石破少数与党政権は補正予算成立のため野党・国民民主党の支持が必要となっていますが、同党首によれば、同党は少なくとも賃金交渉結果が明確になる来年3月までは、利上げに反対の意向を示している事に着目している模様です。
つまり、上掲の2は、現在の石破政権と野党との連携に配慮すれば、日銀は利上げを見送りざるをえない、という事でありましょう。

上掲の3に関しては、日系大手証券も指摘しています。
1月の決定会合を前に、日銀のトップによる講演が行われたのは、2013年に黒田前総裁が日銀に着任して以来、1度もなかったとの事です。

つまり、日銀副総裁が1月会合前に講演を行う予定（1月14日予定）であれば、その講演前である12月会合、さらには1月会合でも（ここはあすなろの見解です）、金融政策変更（つまり利上げ）は無いだろうというロジックです。

トランプ氏が大統領に就任するのが1月20日ですから、これも1月会合で利上げを急ぐ必要が無いと見る、ひとつの理由となりましょう。

「BUYアメリカ！」ですから、ドル高基調に大きな変化は無いものと見ます。
繰り返しますが、日銀利上げ⇒円高⇒株安というシナリオは「読み違い」だと思います。
怖るるに足らずです！



執筆：木村泰章

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