元外資系金融マンのこぼれ話 「金融政策決定後の景色」
今週もお取り組みお疲れ様でした。
秋相場の始まりとともに金融政策イベントで動きにくい投資家の方が多かったように思いますが、ようやく年内の相場見通しが固まってここから儲け時みたいな雰囲気が高まってきましたね。
気をつけなければならないことは、
相変わらずの官製相場ですから下値が固くて上値が重い特有の動きになることです。
先週の『こぼれ話』でもふれていますが、全体は上げもせず、下げもせず、そんな官製相場は市場に歪みをもたらします。
最終的には三角保ち合い形成で溜め込まれたエネルギーが一斉に放出されて上下抜けた方に大きく振れていくでしょう。
こういう環境ではきちんと上昇してくれる銘柄を選んでおかないと、個別では最高値更新する銘柄と最安値更新する銘柄に二極化しやすいので、思わぬ大損に巻き込まれかねないので注意です。
日米の金融政策にからむ動きについては9/20〜9/23の相場展望で簡単に解説しているのですが、まずは不透明感払拭での買いの勢いが強まりましたね。
おそらくは日経平均が17000円を超えてくると、売りポジションの買戻しで踏みあげられる展開も出てくるでしょう。その際には為替の動向にもよりますが、年内18,000円を試す場面は訪れるだろうと見ています。
その中でやはり鍵を握るのは時価総額の大きい金融株と、夏相場で売られ過ぎていた好業績の内需銘柄、そして大きな需要拡大が期待されている半導体関連銘柄になるでしょう。
日銀のETF買いもこれまでの日経平均型のETFよりもTOPIX型のETFに軸足を移してきており、指数寄与度の高い値がさ株だけが上がる局面は見込みにくいと思います。
その中で、金融株ですがビジネスモデルの関係上、マイナス金利の環境下では収益をあげにくいことに変わりはありません。今回の日銀会合でマイナス金利が深掘りされなかったのは銀行界からの反発が思った以上に大きかったのかもしれませんね。
現在、全国銀行協会の会長は三井住友銀行(8316)の國部頭取が務めており、会合前に黒田日銀総裁と会談を行った話が漏れてきておりました。企業には「モノ言う株主」がいますが、当局にも「モノ言う頭取」の圧力が影響したのかもしれませんね。
結果、銀行株は文字通りの大幅上昇となりましたし、年初来の水準まではさすがに戻らなくても直近の高値に迫る動きも期待できそうです。
金融業種のバリュエーションを見てみましょう。
銀行セクター
予想PER 8.40倍
予想PBR 0.34倍
予想配当利回り 2.36倍
証券・商品セクター
予想PER 12.20倍
予想PBR 0.79倍
予想配当利回り 3.16倍
保険セクター
予想PER 11.40倍
予想PBR 0.78倍
予想配当利回り 2.80倍
その他金融セクター
予想PER 12.04倍
予想PBR 1.08倍
予想配当利回り 2.52倍
中でも銀行株の割安度はずば抜けていますね。
ただ、正確には将来の利益期待が薄いので割安とは言い切れないのですが、PBR0.34倍は全産業で最も低い値です。
PERの低い順にみてみると、
東京TYFG(7173) PER 3.7倍
トモニHD(8600) PER 3.8倍
千葉興銀(8337) PER 4.4倍
コンコルディアFG(7186) PER 5.2倍
関西アーバン銀行(8545) PER 5.3倍
東和銀行(8558) PER 5.6倍
島根銀行(7150) PER 6.2倍
栃木銀行(8550) PER 6.2倍
富山第一銀行(7184) PER 6.4倍
りそなHD(8308) PER 6.8倍
高知銀行(8416) PER 7.0倍
豊和銀行(8559) PER 7.2倍
宮崎銀行(8393) PER 7.3倍
南日本銀行(8554) PER 7.3倍
フィデアHD(8713) PER 7.3倍
筑波銀行(8338) PER 7.4倍
三井住友FG(8316) PER 7.4倍
みずほFG(8411) PER 7.6倍
大分銀行(8392) PER 8.0倍
池田泉州HD(8714) PER 8.1倍
三井住友トラストHD(8309) PER 8.3倍
新生銀行(8303) PER 8.4倍
みちのく銀行(8350) PER 8.4倍
以上が、銀行業種の平均予想PERを下回って放置されている銀行株になります。
銀行業種に限らずとも割安のバリュー株が水準訂正をしてくる動きについていくのも戦略として妙味があるかと思います。
その他金融セクターでは
オリックス(8591)がPER 7.0倍、先日大きく上昇していたヒロセ通商(7185)でもPER 6.0倍です。先日にファイナンスで注目を集めたイオンFS(8570)でもPER 10.6倍で8%の希薄化で叩き売られた水準から反発してきています。
逆に新高値をとってきたあんしん保証(7183)もひと相場あるかもしれません。
そして、日銀金融政策における今回の目玉「イールドカーブコントロール」で長短金利差の拡大によって恩恵を受ける代表セクターは保険セクターになります。
かの運用先は大部分が国債で株式保有割合は一部にとどまります。
金融業界で銀行よりも業績面で回復が早いのは運用環境が改善する保険セクターが本命かもしれません。割安感は薄くなりますが、銀行に預金などしておくよりは配当利回りも高いので保険株を保有するのも一考ですね。
東京海上HD(8766)は
PER 11.8倍
PBR 0.89倍
配当利回り 3.28%
MS&ADHD(8725)は
PER 10.6倍
PBR 0.72倍
配当利回り 3.27%
損保ジャパン日本興亜HD(8630)は
PER 9.6倍
PBR 0.82倍
配当利回り 2.47%
生命保険会社も見劣りはしません。
第一生命(8750)は
PER 9.1倍
PBR 0.61倍
配当利回り 2.67倍
T&DHD(8795)は
PER 11.9倍
PBR 0.72倍
配当利回り 2.35%
見送られたマイナス金利の深掘りがいつ発動されるかは分かりませんが、タンス預金で金庫にしまい込むよりも、こうした金融株で配当狙いでおいておくのもよいかもしれませんね。
日米の金融政策通過で本格的に相場を張れる環境が整ってきたので、会員の皆さまもワクワクされていることでしょう。むしろこれまでの鬱憤を晴らす局面がやっと来たという感じでしょうか。
直近であすなろが公開している【緊急即日公開銘柄 第二弾】も公開後すぐに良い動きとなっており、堅調そのものです。ホルダーの方は利益確定のタイミングを逃さずに、そして押し目がきたらまた買い集めていきましょう。
同じように上昇しているブレインパッド(3655)やアズワン(7476)、リオン(6823)もひと相場作りそうな動きを見せていますね。
来週は2016年のパフォーマンスを占う最も大事な1週間となると思われます。
秋相場の仕込みが完了している方も、これから始められる方も、この場面で保有しておく銘柄によって天国にも地獄にもなるでしょう。
取るべきリスクをしっかりとって、獲るべきリターンをしっかり手にしていただきたいと願わずにはいられません。
あすなろの株式アナリストが担当して日々の売買指示を行う【特別会員】、【成果報酬会員】には担当できる人数に限りがあります。
次第に定員が埋まってきておりますので、秋相場に向けてご検討されている会員様はお早めにお申し込みください。
2016年度の後半戦、あすなろにぜひご期待いただければと思います。
【 相 場 の 格 言 】
大利を得んとする時は小利を争うなかれ
それでは、来週も会員様の喜びの声が聞けることを楽しみにしています。
執筆:加藤あきら
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