騰落レシオとは、プライム市場の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から、市場の「過熱感」を判断しようとする指標で、買われ過ぎ/売られ過ぎを見るためのテクニカル指標とされています。

下記のように判断される事が一般的です。
・100％が中立の状態
・120％以上で過熱気味⇒今後下落の可能性有り
・70％以下で底値⇒今後上昇の可能性有り

この騰落レシオ（25日）が、5月15日に、2023年5月以来の高水準となる146.54に達した事から、テクニカルな過熱感が意識され始めた、つまり、短期的には買われ過ぎの水準に達したとの認識が、投資家や市場関係者の間に広まり始めました。

しかしながら、この騰落レシオは、「騰落レシオの水準が買われ過ぎ」であるからと言って、また、騰落レシオ自体が頭打ちとなるからと言って、その後のTOPIXや日経平均の動きも、頭打ちとなるとは言い切れないというお話を、会員様各位にお伝えしたいと思います。

特に、騰落レシオが120％～130％水準で頭打ちとなると、その後のTOPIXや日経平均も同様の動きとなるケースが多い一方で、130％の後半から140％台まで進んで頭打ちとなると、その後1カ月程度はTOPIXや日経平均は、逆に上昇するケースが少なく無いという、「クセ」を有している事をご認識いただきたいと思います。

実際に、23年4月から5月にかけて、騰落レシオが140％台に進んで頭打ちとなった際には、TOPIXは7月まで上昇トレンドを維持し、23年9月に騰落レシオが140％台に進んで頭打ちとなった際にも、TOPIXは10月12日まで上昇を続け、その後下向きに転じたものの、12月に向け切り返す動きを見せました。
今年の1月31日に騰落レシオが137.9%に達した際にも、その後騰落レシオ自体は低下したものの、TOPIXは3月7日まで上昇を続けました。

この事から、足元で騰落レシオ自体は頭打ちとなる可能性が高い一方で、TOPIXや日経平均等の株価指数は、今後1カ月～2か月ほどかけて上昇基調を維持し、7月くらいのタイミングで目先の高値を付ける事も想定されるわけです。

当コラムでもお伝え申し上げてきましたとおり、外国人投資家による日本株買い越しが続いている背景は、米国株のウェイトをやや落とした分で日本株を買っている証拠、と捉えており、このスタンスは今後もしばらく続くものと見ています。

騰落レシオに過熱感⇒ゆえに全体相場が売られるという想定は、早合点である可能性があると申し上げて宜しいでしょう。



執筆：木村泰章

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◆東邦化学（4409）
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主に工業用の化学薬品を扱う企業群です。
半導体向けや自動車向けの需要が追い風になるものと注目しています。

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