株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2025-06-23 11:40:00

木村泰章の機関投資家が読むコラム

トランプ政権は、戦争プロパガンダに傾かないハズ

米国がイランの核施設に直接攻撃を行った事から、本日の日本の株式市場では、リスクオフの動きが意識されやすい展開となっています。
大幅な下落とまではなっていない一方、上値は重いという展開は「やむ無し」でありましょう。

今のところ、イラン対米国の全面戦争に発展する可能性は低いとの見解が大勢を占めている印象です。
トランプ政権の支持層である、「MAGA=米国を再び偉大に」派の多くは国内問題を最優先し、攻撃に反対する姿勢を示しています。
一方で、キリスト教福音派の有力者らは攻撃を支持し、与党・共和党内でもイランに強硬な保守派議員がトランプ氏の姿勢を支持しています。

ブッシュ(子)元大統領が始めた2003年のイラク戦争での苦い経験が、2016年のトランプ氏の大統領選出馬とMAGAが伸長する原動力になってきたとも指摘されている事から、他国の紛争への軍事介入を否定する姿勢こそがMAGAの基本理念と目されています。
大量破壊兵器が無かったのに、9.11に直接関与していなかったのに、イラクを攻撃した過去は繰り返せないわけですね。

今回の直接攻撃により、「イランの核開発計画を破壊できれば、歴史的な出来事になる」と目され、イスラエルによるイラン攻撃も、事前に米国(トランプ政権)側が承認した「共同作戦」の一環だった可能性さえある事から、米国による直接攻撃の一方で、イスラエル側による攻撃は一旦矛を収める可能性が高いようにも思います。

いずれにせよ、トランプ政権側も、イラク戦争時のような泥沼化は避けたいでしょうから、「軍事力の差」をもって「早期終結」を図る事でしょう。
賛成派/反対派の双方をも納得させる為に、核施設の攻撃に限定した「パフォーマンス的」実力行使に留めておきたい、というのがトランプ大統領の本音であるように思います。

今のところ、顕在化リスクは高く無いと見ますが、想定されるリスクシナリオは下記のとおりです。

・イランによる報復や米国の攻撃継続の可能性
 ⇒イランの報復を招き、結果的に長期的な紛争に引きずり込まれるとの懸念は乏しいものと見ます。

・ホルムズ海峡封鎖による原油供給停滞及び原油価格の高騰
 ⇒ホルムズ海峡封鎖で困る需要国は、米国では無くアジア各国である為に、イラン寄りの中国に対する配慮からも、ホルムズ海峡の封鎖は行われても短期・限定的な「パフォーマンス的」な程度に留まるものと見ます。
 ⇒ホルムズ海峡封鎖で困るエネルギー供給国はサウジアラビア、イラク、クウェート、UAE、カタール等で、イランはこの点にも配慮する必要があり、封鎖は現実的では無いものと見ます。

・原油高を背景に円安が進行すると、為替サイドから日銀の金融政策に利上げプレッシャーがかかる
 ⇒これも、シナリオ的には実現する可能性は低いものと見ます。株式市場に対する影響も限定的で、日本株からの資金流出までは想定し難く、若干ディフェンシブセクターへの資金シフトが見られる程度に留まるものと考えます。

「戦争は買い」とまで言い切るつもりはありませんが、少なくとも「狼狽売り」するほどの緊急性は無し、と考えます。




執筆:木村泰章

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