元外資系金融マンのこぼれ話 「世界のリスクオンは続くのか?」
今週もお取り組みお疲れ様です。
いや〜、為替市場の動きがとてつもない勢いを見せていますね。
先週のこぼれ話でもふれておりましたが、とうとうドル円は114円目前まで伸びてきました。為替市場のアナリスト達も困惑する動きで次の節目は115円になるそうです。
週間『ダイヤモンド』(11/26号)で「リスクを学んで投資に勝つ」とのタイトルで発刊された雑誌がありますが、現在の市場のリスクリターンのバランスは大きく崩れていると思っています。
推測ですが、これまで続けられてきた世界的な金融緩和でジャブジャブに溢れたマネーは米国債や日本国債、通貨としての円など、比較的安全資産と言われるところに過度に集中していました。
それが足元では債券が売られて金利には急上昇の圧力がかかり、円は売られて再びリスク資産へと向かっています。リスク資産の代表格は株式と原油をはじめとする商品などで安全資産からリスク資産へのシフトが始まっている状況です。
さらに、ヘッジファンドの中にはこういった原資産を基に組成された指数などで取引をしていますので、実体とかけ離れた相場を形成することがあります。
それがかつてのリーマンショックを引き起こすきっかけにもなりました。
米国は再びトランプ次期大統領の政権下で、景気浮揚策の一環として金融規制法(ドッド・フランク法)を撤廃し以前のリスク選好を容認する姿勢を見せています。
トランプ政策の実現度はまだ推し量れないところではありませんが、目下債券や円などに集まっていたマネーはどこに向かうことになるでしょうか?
おそらくはそれが2017年の大きな投資戦略に影響を及ぼすことになることは間違いないと思われます。
また、ジャブジャブに溢れた市場のマネーに加えて、産業界でも景気後退懸念から設備投資意欲が減退していたこともあり、企業は内部に資金を溜め込んでいました。
今後はその資金の活用に焦点が当てられることは明白で、大型のM&Aや株主還元としての自社株買い、増配政策などその資本政策も株式市場に影響を与えることになるでしょう。
個人的な見解ではありますが、世界の投資マネーはまず米国株式、そして日本を含むアジア株式に流れるのではと見ています。
消去法的ではありますが、欧州は来月のイタリア国民投票をはじめフランスの選挙なども控えており、市場は政情不安を極端に嫌がります。
また、新興国でも南米や中東などはトランプ政策の影響度が見極められるまでは資金流入は見込みづらいと思われます。
そして、アジア株式の中でも今の中国株や韓国株は投資しづらいですよね?
そうなると、やはり米国株そして日本株の投資妙味はますます高まると考えられますよね。
最近では日本企業の中でも外需企業の躍進が際立っていますが、
前回の決算で日本企業の想定為替レートは大幅に切り下げるに至った企業が相次ぎ、
その一方で、業績には底打ち感が出て相場を下支えした側面があります。
米大統領選挙の11/9は急落に巻き込まれた企業も多かったかと思いますが、新安値を更新したのはどちらかというと内需銘柄でした。
それをふまえると、2016年初からの売りポジションを解消させてきた海外勢が新規で買いに回ってきており、その対象として外需銘柄が選ばれて上昇しているのは業績下振れ懸念が後退したからと言えるでしょう。
ただし、そのうちの半分は売り方の買戻しということも押さえておきながら、本当の強気相場に入ったのか見極めるのにはもう少し時間が必要でしょう。
今の上昇で利益が乗っている人も、これから仕込みを始める方も地合いの良い時こそ、積極的に動く必要があります。割安銘柄もまだまだ転がっている状況ですから、しっかりと先を見据えた投資をしてほしいと思います。
今回は為替動向で注目が高まっている自動車セクターの中でも、将来の需要拡大が期待されている電池銘柄で動きの良いものを取り上げておきたいと思います。
GSユアサ(6674)
新日本電工(5563)
日本カーボン(5302)
東海カーボン(5301)
日立化成(4217)
宇部興産(4208)
クレハ(4023)
【 相 場 の 格 言 】
『悪い銘柄は良い銘柄を駆逐する』
それでは、また会員様の喜びの声が聞けることを楽しみにしています。
執筆:加藤あきら
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