中小型市場を襲った波状攻撃の売り物
週明けの日本市場は北朝鮮の水爆実験で持ち切りになってしまいました。
昨日から続く新興市場の投げ売りが中小型株全体に波及してきている状況です。マザーズ指数は先週末の1107ポイントから1021ポイントまで▲7.8%の下げになっています。
大型・中型に比べると小型株の売りが圧倒的に大きいことが特徴です。
個人投資家の懐具合は明らかに傷んでいると思われますが、マーケット全体としてはさほどリスクオフに傾いたようには見えません。
先週のところで、事前に注目度の高かった米雇用統計は市場予想より雇用・失業率・賃金いずれも下回る弱い結果ながら、さほど弱気材料とされることなく、金利は上昇してそれほど円高要因とはなりませんでした。
日本の株安は北朝鮮動向のインパクトが強すぎることによるものなのか、為替市場は円高に傾きながらも円安基調が崩れてはいない中で不可解な動きです。
米国では雇用統計の他にも強い製造景況指数などが発表されており、コーン米国家経済会議委員長の「経済について、とても満足している」との発言した内容も逆に米景気に対するドル買い材料として意識されているようです。
昨日あれだけ全面安になり、続落でさらに深堀りしている新興市場の下げは売られ過ぎにみえます。
今週末にメジャーSQと北朝鮮の建国記念日(9/9)を控えていることを考えれば「戻ったら売り」は仕方ないかもしれませんが、少なくとも投げ売りする局面ではないでしょう。
となれば、今回の下げは大口の個人投資家が雑な投げ売りなどを行って、出来高を集めていた銘柄が崩れたことによるものでしょう。
8月は個人投資家が買いの中心を担いましたので、海外勢のポジションは縮小しているはずです。
今回の地合い悪化は個人投資家同士による「共喰い」「損失のなすりつけ合い」のような状況と言えるかと思います。
これが中小型市場に波状攻撃の売り物として出てきていると言えます。
本日の引け間際の戻りが弱いために、場合によってはもう一段の追証売りなどが懸念されますが、手掛かりも地政学リスク以外には見出しずらいと言えます。
朝鮮半島情勢をめぐる地政学リスクはメディアへの登場回数は明らかに多くなっているものの、突発的な戦争勃発にはつながりません。
実際に戦争を起こすには正当性と国連安保理の承認を得るなど周到な準備が必要になるはずだからです。
まずは石油取引禁止などの経済制裁のゆくえと北朝鮮の出方を窺う時間が続くことになると思います。
米国単独での軍事オプションを行使することは現実的ではありませんし、ましてや問題が悪化しても中国・ロシアが首を縦にふることはないと思われます。
よって、下げがキツいと感じるときこそチャンスが転がってると感じるようでなければ投資で利益を得るのは難しいことと言えるでしょう。
地合いがますます悪化している中でも、意外にも『ヴィクトリーロード銘柄』のように逆行高を示す銘柄もあります。
なぜ意外になのかというと、特にこの『ヴィクトリーロード銘柄』は公開前の決算段階で先行して下げてたところからの出直りです。市場の地合いが良かった時にこれでもかという程売り込まれていた銘柄なのです。
結果、方々の悪材料を織り込んで、アク抜けしきっているのが今の動きにつながってきているのかもしれません。
そういった観点からは、北越工業(6364)などの派手さは無いものの足取りがしっかりしている銘柄を選ぶのは今後の利益につながりやすいと言えるかと思います。
また、ここ2日間はマザーズ市場の下げがキツいですので、その分のリバウンド狙いもよいのですが、戻り売りが待ち構えて上値が重い可能性があります。
そこで、比較的底堅いジャスダック市場のケル(6919)などを純粋な押し目とみて買っていくのがよいかと思います。
いずれの小型株もこの2日間は厳しい値動きとなっているはずですが、マスコミのように戦争、戦争と軍需銘柄だけに目を向けるのではなく、視野を広くもっておいてほしいと思います。
【 相 場 の 格 言 】
『一割、二割は世の変動、三割以上は人の変動』
それでは、明日に希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
執筆:加藤あきら
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