〜ブラックマンデーの呪縛から解放の先〜
昨日のNY市場は1987年のブラックマンデーから30周年記念日を迎えて寄付から売られたにもかかわらず、引けには一時マイナス100ドル以上の下げ幅を全て取り戻してプラス引けになりました。
元々、高値警戒感と隣り合わせでしたので、あちらこちらから売りの材料を引っ張ってくるのがいつもの流れですね。
スペインのカタルーニャ州独立問題も似たような類で、実際問題としてスペインの統治下というよりもEUの枠組みから外れるデメリットを考えれば、昨年のブレグジットと似たポピュリズムの一側面に過ぎないのではないでしょうか。
日経平均も朝方の円高環境から売り優勢で始まりましたが、大きく切り返して下げ幅を取り返しましたよね。
こうなってくるとトレンド転換を狙った売り方は厳しくなってくるのではないでしょうか。慌てて買い戻して踏み上げになる可能性も出てきますね。
そこで気になるのが、やはり巷で騒がれる今の相場はバブルなのか?というところではないでしょうか。
日経平均などのチャートを見たら高所恐怖症になってしまうかもしれません。
しかし、海外がリスクオンになって史上最高値を更新しているのに、日本株だけが上がらないというのは投資家心理が上昇を拒否している現象と言い換えることもできます。
それは、これまでのトラウマが影響しているとしか思えませんね。
昨年のブレグジットの時も、米大統領選の時も、北朝鮮の地政学リスクが顕在化した時も、いかなる時も日本株だけ外部の動きについていけない状況でした。
長らく日本企業の実力が評価されにくい状況が続いてきたので、投資家はすっかり相場に自信が持てなくなってしまっているのではないでしょうか。
私がいつも取り上げている投資部門別売買状況では海外勢の一手買いに対して、国内の法人、金融機関、そして個人が必死で売っている構図です。
日本の先行きに期待しているのは海外勢だけなのでしょうか。
そうではないと思います。きっと投資家はこれまでのリスクオフ局面で痛めつけられた記憶から逃れられずに疑心暗鬼になっているだけだと思うのです。
30年たったブラックマンデーの大暴落が今更ながらに話題にのぼるのは過去のトラウマがあるからに他なりませんね。
現在は過去と経済状況も違いますし、物価もインフレ率も違っていて、世界中で日々生み出されている富の総量も違っています。
ましてや今は大金融緩和時代です。
過剰に供給されたマネーが暴走を始める懸念があることに否定はできませんが、相場の終着点はもう少し先にあるのではないかと思っています。
バブルは実態経済と明らかなかい離が生じている時にはじけて、相場の水準訂正が行われる現象です。
仮説として、日本企業の実力がまだ過小評価されているとしたら日経平均はじめ個別銘柄の上値余地はまだ残されていると考えるのがよいのではないでしょうか。
バブルというと「失われた20年」というフレーズを思い起して、はじけるイメージが先行してしまうのが日本人かもしれませんが、当然その前には熱狂の相場があります。
いまの相場に熱狂を感じていらっしゃる投資家がどれだけいるのでしょうか。
投資部門別売買状況に表れておりますように、日本市場で売ることを考えている投資家が多いとしたら、それこそ暴落は先の話になるとみてよさそうです。
でなければソフトバンク(9984)が第2の10兆円ファンドを組成するなんてリスクを簡単に取りにいけるのでしょうか。
ブラックマンデーの呪縛から解き放たれた米国市場は史上最高値圏でプラスに浮上しました。
日経平均の史上最高値38957円はまだ遥か先ですが、トラウマを乗り越えた先には今までと違った景色が広がっているのかもしれませんね。
【 相 場 の 格 言 】
『上げ相場に売り気では利運に乗れず』
それでは、明日に希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
執筆:加藤あきら
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