材料出尽くしでも高値更新 〜防衛関連:ボーイング、レイセオン
だが9日には上院議会が税制改革の実施を18年から19年に先延ばしする法案を発表。事前予想されていたものの先行き不透明感が広がり、ダウは101ドル安と8日振りに反落。S&Pとナスダックも反落した。
3日発表の10月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数の増加が振るわなかったものの9月分を上方修正し、失業率は予想の4.2%を下回る4.1%に低下した。サプライマネジメント(ISM)発表による10月の非製造業景況感指数は3ヵ月連続で上昇し、企業の景況感の底堅さが表れている。また、3日の米原油先物相場では指標となるWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)が一時1バレルあたり55.76ドルと2年振りの高値を付けた。
賃金の上昇圧力が鈍いままの低インフレ、低金利のなかで景気拡大が続くとみられ株式相場は堅調に上昇を続けている。
個別ではアップルが2日引け後に7〜9月期決算を発表。売上高は4四半期連続の増収となる12%増の525億8千万ドル(6兆円)。売上高の5.5割を占めるアイフォンが堅調なほか音楽配信サービスと中国事業が2ケタ増と好調だった。純利益は19%増の107億ドル。
6日に通信半導体大手のブロードコムが同業のクアルコムに半導体業界で過去最大となる総額1300億ドル(15兆円)で買収提案した。又、同日インテルとアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)がゲーム、動画制作のPC向けの半導体で協業することを発表。今後のIoT、AIの拡大を睨んだ半導体業界再編の動きが活発化している。
債券市場はFRB議長がハト派のパウエル氏に決定したことを受け、10年債利回りは2.4%台から低下、2.3%台前半で推移している。
また、ドル円は、現地9日に米上院が発表する税制改革法案で法人税の引き下げを18年から19年に先延ばしする可能性ありとの報道を受け、一気なドル高に振れにくく、9日の日本市場では113円台半ばで推移している。
あすなろでは年内の税制改革法案成立に注意しつつも、経済回復を受けた穏やかな金利上昇の環境に変化のないなか、株高が続くことを予想している。
今週は来日の際、日本に軍事機器の購入を促して話題となったトランプ大統領が提案する40億ドルのミサイル防衛計画から恩恵を受けそうな2銘柄を紹介したい。
1. ボーイング(BA)[NYSE]
ボーイングは航空機メーカー大手。民間航空機部門は737、767、777、787型機を含む商業用ジェット機の製造や技術サポートを展開する。軍用機部門は「A160ハミングバード」や「AH-64アパッチ」など各種軍用機の製造や保守を行う。また通信ネットワークシステム、ミサイル防衛システム、有人宇宙飛行・着陸システムの開発、製造、サービスを展開。
10/25発表のQ3(7〜9月期)決算では出荷全体の7割を占める737型小型機がけん引して好調。世界の航空会社間で小型化が強まっているなかで順調に業績を伸ばしている。また、トランプ大統領が提案するミサイル防衛計画の増強は同社とレイセオンが手掛ける地上探知システムの増築につながるとみられている。
株価は262.70ドル、(前日比-1.08%)(現地11/9引け)。Q3(7〜9月期)決算は、売上高が前年同期比2%増の24,309百万ドル、純利益は税負担増から19%減の1,853百万ドル。受注残は商業航空機5,700機を含む4,740億ドル。決算発表時に17年通期のEPS見通しの上限を従来の11.30ドルから11.40ドルへ引き上げた。
2. レイセオン(RTN)[NYSE]
レイセオンはマサチューセッツ州に本拠を置く防衛・政府機関、民間企業向けの電子機器会社。事業は統合防衛システム、情報管理・収集システム、ミサイルシステム、宇宙・航空システムで構成。海陸上・空中戦闘向けレーダー、監視システム、空中・陸上戦兵器、航空機搭載レーダー、諜報・偵察システム、人工衛星向け画像センサーを提供する。
10/26発表のQ3(7月半ば〜10月半ば)期)決算では、部門別の売上でミサイル・システムズ部門が前年同期比10%増と全体をけん引。米空軍の電子装備システム「ペイブウェイ」、誘導砲弾システムの「エクスカリバ」が好調だった。
株価は184.94ドル、(前日比-1.54%)(現地11/9引け)。Q3決算は、売上高が前年同期比4%増の6,284百万ドル、純利益は5%増の572百万ドル、希薄化後EPSは1.97ドルで前年同期の1.84ドルから増加。受注残は3%増の36,676百万ドル、受注は0.5%増の6,957百万ドル。
<米国株豆知識その19>
半導体メーカーについて
半導体は銅、アルミなどの電気を通しやすい導体とガラスなど電気を通しにくい絶縁体の中間の性質を持つ物質で、電子機器内で「脳」が働くように電子回路を制御する。主な半導体メーカーにはPC内で演算処理をするCPUで業界トップのインテルのほか、情報を記憶する「メモリ半導体」大手のマイクロン・テクノロジーや、熱い、寒いなどのアナログ情報をデジタル化する「アナログ半導体」大手のテキサス・インスツルメンツなどが挙げられる。
今後はあらゆるモノをネットにつなげる「IoT(アイ・オー・ティー)」進むことで、通信用半導体への需要の高まりが予想されている。今週話題になったブロードコムはブロードバンド通信(光ファイバーなどを使った高速インターネット通信のこと)の分野に強く、4Gの次世代スマホ向け通信に強いクアルコムと組んで一気に業界優位に立つ目論みだが、独禁法審査は難航するとみられている。(ブロードコムについては米株くらぶ9月24日号もご参照下さい。)
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