アルコニックス（3036）

同社は、非鉄金属を中心とする独自の「商社×製造」モデルを構築しており、特にレアメタル（チタン、タングステン、モリブデン、レアアースなど）に強みを有している。

原料の鉱石や地金から中間材、最終部品・製品まで、一貫したバリューチェーンを自社グループ内で完結できる点が最大の特徴だ。

商社機能としては電子機能材事業で、EV・FCV用電池材料や半導体向け素材など、高機能用途に不可欠な原材料・レアメタルを調達・販売している。

レアメタルは、スマートフォン、電気自動車、半導体製造装置、自動車用電子部品など構造的成長分野の製品に深く関わる素材の一角を占めており、市況変動や供給制約、地政学リスクが高まる中で、アルコニックスの調達力・商流構築力が競争優位性を発揮している。

同社はM&Aを通じて製造子会社を傘下に増やし、単なる商社から付加価値の高い素材・部品製造業へと進化し続けている。

株価にプラス作用するポイントとしては、まず、レアメタル価格や需要の上昇が収益に直結し、さらには、EV・半導体関連投資が拡大すれば、同社の主力商材への需要増加が期待される。
加えて、バリューチェーン全体を掌握する体制ゆえに、価格転嫁やマージンの確保がしやすく、市況下でも収益安定性が見込める点が特徴的と言えよう。

株価は上昇トレンドが継続中だが、株価指標面はPER10倍、PBR1倍割れ、配当利回り4.3％と、割高感は乏しく、今後も上値追いの展開が継続するものと見る。

一方で、地政学リスクや原材料価格の乱高下、為替変動による調達コストの影響が大きく、これらに対する感応度も高い構造である点には注意が必要となろう。