矢作建設工業（1870）

矢作建設工業は、建築・土木に鉄道関連、不動産を加えた4本柱。物流施設や再開発、耐震・更新まで一気通貫で担える体制が特色と見る。グループに分譲マンション、不動産管理、舗装・合材、緑化やゴルフ場コース管理まで抱え、用地取得から設計・施工、運用・保全までの“街づくりオーケストレーション”が強み。東海圏の厚い顧客基盤に加え、鉄道インフラの保全需要や物流拠点の再配置、産業用地開発の循環が収益機会を広げよう。資材・労務のコスト圧力は続くが、設計提案力と契約設計の工夫で採算選別を効かせる運営が継続テーマ。

直近は増収増益の流れ。2026年3月期1Qは売上高411.53億円、営業利益36.47億円。大型建築の進捗と不動産の寄与が効いたとみる。前期通期は売上高1406.99億円、営業利益86.54億円。受注は建築が堅調、土木も民需の大型案件で厚みを増した。会社計画は今期通期で売上高1680億円、営業利益100億円と控えめなレンジ。資材や人件費の上振れは注視点だが、工程管理と価格転嫁の進み方しだいで利益のブレは抑えられよう。現在地を平易に置き直すなら、1Qは売上約412億円、営業利益約36億円の水準。手持ち工事の厚みが今期見通しの下支えという構図である。

株価は建設循環と設備投資マインドに連動しやすい。足元は決算や受注開示で出来高が膨らむ局面があり、25日線と75日線の乖離縮小からのゴールデンクロス形成が続けば、直近高値帯の上値抵抗が支持へ転化するシナリオ。逆に失速すれば、ボリンジャー中心線や13週線付近での押し目形成を想定したい。セクター資金が物流・再開発テーマに向かう局面では相対強度が増しやすい一方、資機材価格や人件費ニュースには感応度が高い。イベント後の出来高の質、並びに低位保ち合いの上放れ有無を確認し、指値分散と時間分散を基本とする段階的評価がベター。