株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2018-02-11 15:00:00

米株くらぶ

金利上昇懸念から調整続く 〜ハイテク・ソフトウェア関連:リングセントラル、アドビ・システムズ

2月5日週明けの米株式市場は、前週金曜2日に長期金利が上昇したことをきっかけにダウが600 ドルを超えて下落した流れを受け、前週末比1000ドル超続落して始まった。アジアや欧州市場でも売られたことで世界同時株安連鎖の週明けとなった。2日発表の雇用統計で賃金上昇率が2009年6月以来の高水準となる2.9%となり、10年債利回りが一時2.84%をつけるまで上昇したことが金曜の下げのきっかけ。5日の大幅な下げの背景には相場の変動性を示すVIX指数が38と全営業日比で3倍近くまで急上昇し、売りが加速しやすい地合だったことが指摘された。
しかし翌6日には反発。ダウは上げ下げを繰り返したあと、前日比567ドル高で引けた。株安を背景に10年債が2.7%台まで買い戻されたことや企業が値ごろ感から自社株買いに動くのではとの見方もプラスに働いた。
その後は7日に3指数そろって小幅反落後、8日はダウが再び1000ドル超売られ相場は大幅続落した。つなぎ予算成立が不透明なことや金利上昇懸念が背景にあり、VIX指数も高水準で高止まりしている。

 7日時点で発表されている各連銀要人発言によれば「インフレが加速しているわけでなく、景気の見通しには変わらない」とされ、市場の調整を受けた上での3月のFOMCでの利上げの可否が注目されている。7日のNY市場で10年債は2.8%台半ばまで上昇している。

 ドル円は米長期金利上昇の流れや日経平均が前日比で買われていることを受けてドル高に触れていたものの、8日のNY市場では株安を受けたリスク回避により108円台半ばまで下落した。
 原油市場は、産油国による協調減産継続やイラン・サウジアラビア間の地政学リスクを反映し上昇基調にあったが、米国の生産が加速しているとの見方から落ち着きを戻し、8日のNY市場でWTIは1バレル61ドル台をつけ5営業日続落している。

あすなろでは今回の調整は金利上昇を受けた利益確定売りであり、景気後退による弱気相場の始まりではないとみている。米株について堅調な見方は変えていない。Q4決算発表を受けて業績の上向きが期待できる先については全体の動きに留意しつつも押し目は「買い」で臨みたい。
今週は相場全体が下げているなかでも業績好調から善戦しているソフトウエア関連から2銘柄を紹介する。

1. リングセントラル(RNG)[NYSE]



企業向けにクラウドで携帯電話や通信システムを可能にするコミュニケーション・ソフトウエア(SaaSソリューション)を提供。主要サービスは、異なるチャネルで複数のデバイスで通信可能な「リングセントラル・オフィス」、中小企業用にリングセントラル・オフィスを設定する「リングセントラル・プロフェッショナル」、インターネットファックス機能の「リングセントラル・ファックス」。
17年度Q3(7〜9月)決算は、ソフトウエアのサブスクリプション売上が前年同期比30%増と好調で全体の34%増収に寄与。事業再編などの影響を除くEPSは0.06ドルで前年同期から倍増。グーグルがマイクロソフトの企業部門に対抗するために提携した経緯があるだけに企業向けの更なる浸透が見込まれる。
株価は52.30ドル、(前日比-0.76%)(現地2/8引け)。現地2月12日引け後にQ4決算発表予定。
 
2. アドビ・システムズ(ADBE)[NASDAQ]



画像編集ソフトウエア。画像や文書編集、PDFファイル閲覧「Acrobat Reader」、PDFファイル作成、コンテンツ・アプリの制作・配信、ドキュメント・コラボレーション、印刷物デザイン、映像編集・制作などを支援するツールを提供。製品は卸売・小売業者、OEM、ウェブサイトを通じて販売。本社はカリフォルニア州サンノゼ。日本でも事業拡大中。
同社の製品は法人、個人向けに広く利用されており、「フォトショップ」は写真愛好家にとっては必須のアイテムとも言われている。12/14発表の17年Q4(9〜11月)決算では2桁増収増益を達成。注力するクラウド事業の伸びも18%増と好調。また自社株買いに積極的であることが株価好調の背景にある。
株価は185.16ドル、(前日比-3.73%)(現地2/8引け)。Q4決算は、売上高が前年同期比25%増の2,007百万ドル、純利益は26%増の502百万ドル。EPSは基本1.02ドル、希薄化後1.00ドル。前年同期の0.81ドル、0.80ドルから増額。

<米国株豆知識その30>
VIX(ビックス)指数について
相場の変動率の指標となる指数。この項で以前に取り上げたVIX指数だが、5日の相場の急落の引き金になったとの指摘の声が多い。17年間を通じておおむね15と20の間で推移していたのが5日には40近くまで暴騰した。VIXに連動して保有資産のリスクを調整する戦略を採用するファンドの売りが相場の大幅下落につながったとする見方である。
VIXに関連した上場投資信託、上場投資証券も多く、VIXが当面は落ち着いて推移することに賭けていたヘッジファンドなどの一部の投資家は大きな損失を蒙った模様。
2兆ドルにものぼっているといわれるVIX関連投資の巻き戻しが相場のかく乱要因になっているとの指摘もある。

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