証券ディーラー業界の現状
私が約10年近く証券ディーラーとして勤めていたことは既に皆ご存知の事だろう。
Y証券の知り合いから近況を聞いたので今回は少しだけその話をしよう。
実は彼は私と同じ慶応の商学部卒で学年も同じ。
とはいえ同学年だけでも非常に人数が多いため、在学時の面識はなかった。
昔の証券ディーラーと言えば、
所謂「1カイ2ヤリ」、「一文抜き」が主流で、
2009年の東証アローヘッド導入までは、
反射神経だけでほぼ負けない売買も可能であった。
今思えば天国のような環境だが、
勝ち放題の状況は長く続かない。
取引高速化の流れから、
HFT(ハイフリークエンシートレーディング)等と呼ばれる、
プログラム売買が主流になり、
「1カイ2ヤリ」はすぐに通用しなくなった。
自己売買部門を抱える中小証券会社の多くが、廃業・撤退することに。
今では私が当時勤めていたY証券。
アンジェス(4563)の第三者割当を引き受けで知っている人も多いだろうM証券。
当時一線級の凄腕ディーラーを多く抱えていたA証券。
この3社に集約されてきているのが実情のようだ。
上述のように超超短期の売買はプログラムによって収益機会を剥奪されたため、
今はディーラーであっても個人投資家とさほど変わらない環境下で闘っている。
であれば、
企業の業績も見なければならないし、
チャートのチェック、
需給の変化、
ニュースの把握・・等々。
勝つために出来る事は何でも行い、
時代の変化の中、様々な知識を武器に利益を上げ続けた。
今もディーラーを続けている彼も、同様に勝ち続けている。
あすなろでのアナリストという非常に貴重な経験をさせてもらっているが、
私もいつかまたディーラーに戻る日もくるかもしれない。
ひとまず、勝つために出来る事は貪欲に全ておこなっていきたい。
執筆 相場師 徹兜
元証券ディーラーが直接執筆/徹兜メール会員詳細・参加はコチラ
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