休場明けの中国株堅調で日本株も反発、目先の相場動向分析
休場明けの中国市場が堅調に始まってきたことで安心感が広がった日本株は日経平均・TOPIXともに25日移動平均線を上回って引けました。
とくに出遅れが目立っていた銘柄も200日移動平均線とのかい離を埋めてきており、全体的に底上げの動きが強まってきているのかもしれません。
米10年債利回りも上昇して為替も戻りを試す展開になってきましたので、あとは9月の配当落ち前の水準をいつ回復してくるのかが注目されるところです。
ただし、昨日に続いて連日で東証1部の売買代金2兆円割れといった具合ですので、本日の上昇分を全面的に信頼できるわけではないことにも留意しておく必要があるでしょう。
まだジャンク債も25日線・50日線を割ったままですし、VIX指数も中途半端なところに位置していますので米中協議をめぐっては疑心暗鬼が継続しているとみておいた方がよいでしょう。
よく政治は水ものと言われますし、足元では内閣府が消費増税直後のタイミングで週初に景気動向を「悪化」に下方修正したばかりですので、今週いっぱいは警戒しておくにこしたことはないでしょう。
かと言って、昨日も書いておりますように相場を悲観する必要はないわけで、ポジション管理も怠らないようにしましょうということだけです。
米中協議が進展あるいは決裂どちらのシナリオに傾くかによって相場に“揺らぎ”が生じるわけですが、むしろこの揺らぎこそが短期的な値幅取りの機会を提供してくれます。
しかし、これをうまく利用して立ち回るには全体像の把握が欠かせません。最近のニュースでは米国側も中国側も態度が二転三転している状況ですので、報道に一喜一憂しながら売買しても後悔しか残りません。
今回の両国の落としどころとしては、米国側が求める全面的な合意は困難を極める一方、中国側は交渉項目の複数の部分について合意をほのめかしていることから、全体的な合意ではなく部分的な暫定合意を目指す可能性は残されているとみておくのが妥当かもしれません。
来年1/1の発効を目指すとして署名された日米貿易協定についても黒か白かではなく、お互いの政治基盤に配慮しながらグレーな交渉結果に落ち着いたことをふまえれば合点がいきます。
したがいまして、合意・決裂どちらに決め打ちしてポジションを持つことは相場観でもなんでもなくただの蛮勇と言えるでしょう。
こういう時はジタバタせず、リスクが取れる分だけのポジションに抑えて10/10~の協議を注意深く見守ることが得策です。
そんなことよりも、上記の内閣府がこのタイミングで景気判断を4か月ぶりに「悪化」に下方修正した意図は何でしょうか?
8月の景気動向指数ですので季節性要因をふまえれば弱含みとなることは、先日のISM製造業指数がセンチメント指数であり下振れした際に解説したものと共通です。
数値実績自体をみても確かに8月の鉱工業指数(9月30日発表)などは弱含みですが、これは分かりきっていたことですし、一致指数にしても極端に下振れしたとは言い難い状況です。
むしろ私がこれまで散々書いてきた半導体・電子部品や化学の分野は鉱工業生産を大きく上昇けん引しているのが実状です。これは株価が上昇している銘柄群からも明らかですね。
さらに今週初めの『YEN蔵レポート』(あすなろポイント情報)をお読みになった方はお分かりかと思いますが、引用資料のデータでは9月・10月の製造工業生産予測指数は設備投資関連が大きく伸びるとしていることからも、むしろ今後は改善に向かう期待が高くなっていると言えます。
うがった見方をすれば、内閣府の今回の発表は“あえて「悪化」という表現を用いた”可能性が高いと推察され、ともすれば、年内のうちにもしくは年末の補正予算を組む段階においてこれを修正してくる可能性も十分あり得るだろうとみています。
投資顧問だからあてずっぽうで強気コメントを言っているわけではありません、今回の判断は明らかに違和感のあるタイミングでなされ、政府にとっても消費増税しておきながら景気悪化では辻褄が合わないからです。
長くなってきたのでこのへんにしたいと思いますが、特に政治が動きやすい時期はニュースのヘッドラインに踊らされて無駄な売買をしてしまいますと、せっかくの投資機会を逸することにつながります。
今後はむしろ8月の鉱工業生産を低下方向に引っ張った3業種、1.鉄鋼・非鉄金属や2.機械、3.自動車などのセクターに注目して投資対象を絞り込んでいっていただくと良いパフォーマンスにつながるのではないかと考えています。
具体的な銘柄が気になる場合は、弊社のまんもす藤井。がその辺詳しいですので、ぜひ本人に直接お問い合わせいただくとよいかと思います。
【 相 場 の 格 言 】
『麦わら帽子は冬に買え』
それでは明日も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
【本日ご紹介した銘柄】
「ラストまんもす銘柄」
執筆者:加藤あきら
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