緊急全体フォローその10!新型コロナウイルスは現実売り VS 金融当局緩和マネーの下支え
先週末に発表された米1月雇用統計は市場予想を大きく上回る強い内容だっただけに、米10年債利回りが跳ね上がってもおかしくないところ、なぜか株は売られ債券が買われてリスク回避の動きに転じています。
ファンド勢も売り上がりとみられ、米国株は5日ぶりの反落となっています。
これにより2/6までの上昇はやはり買い戻し中心であったとみることができ、今度は新型コロナウイルスがもたらす景気悪化への影響を現実的に織り込む作業に移っていきます。
これについて、先週末のフォローその9!でも書きましたように、思惑買いとしての新型コロナウイルスの相場はピークをつけて終了ですが、戦後処理が残っていることを見落としてはなりません。
ただ、今後はマーケットが現実問題として、サプライチェーンへの悪影響などを織り込みにいく中で、関連銘柄は短期的な乱高下がもたらされつつ、まるで仕手株の解体相場の様相となることでしょう。
今週は春節休暇を終えた中国での労働本格再開が感染拡大につながる懸念もあり、この手のウイルスの話題は簡単には無くならないのが現実です。
よって、マーケットは「新型コロナウイルス影響からの現実売り」VS「金融当局の緩和マネーによる下支え」といった構図となります。
以前、昨年秋に米金融当局はOMO(公開市場操作/Open Market Operations)によるレポ市場への介入を特別措置として行ったことを取り上げました。
これは“隠れQE4”として市場に流動性供給を行う注目度の高い政策でしたが、これは彼らの狙いから言って特別措置などではないと書きましたね。
昨年末の動きからしても、さらに今年6月まではPOMO(恒久公開市場操作/Permanent open market operations)としてバランスシート拡大を行う可能性があるとされています。
この週末に出てきた話題としても、米FRBの資産拡大ペースは半年間で4000億ドル増に達する見込みで、その割合は資産規模の1割超と過去最速規模のペースで拡大しているとのことです。
今週は11日、12日にパウエル米FRB議長が米下院・上院でそれぞれ議会証言する日程ですが、2/7のロイターでは米FRBが半期に一度の金融政策報告書の中で、「米国経済がリセッション(景気後退)に陥るリスクは後退としながらも、新型コロナウイルスの感染拡大は懸念要因」としています。
云わばこの新型コロナウイルスがもたらす経済下振れの悪影響防止のために、批判も多い史上最大規模でのQE政策を正当化させる狙いがあると言っても過言ではありません。
長く相場を見てきた方ならご記憶かもしれませんが、2003年にも中国発のSARS流行とその後の緩和バブルが思い起こされますが、ウイルス終息とともにマーケットはV字回復、さらにその後の強烈な上昇相場の起点になったことは忘れ難いでしょう。
先週は中国でも景気刺激策の一環で潤沢な流動性供給を発表し、マーケットは急反発を見せたわけですがこれで終わりではありません。
各国が協調してこの新型コロナウイルス封じ込めの動きを見せる中で、緩和マネーはより大きく膨らんでいくことになるのです。
日本でも「国内の景気指数悪化“5か月連続”はリーマンショック以来」と衝撃的な見出しの記事が出てくるようになりましたが、実体経済の悪化と金融緩和はセットです。
これがバブル相場の萌芽となるわけですし、この今の相場はリーマンショックから立ち直った上昇相場の最終局面とも言えるところにあるのです。
先週や先月と比べてどうか、昨年と比べてどうかといった目線で論じる局面ではもはやありません。
ですから、直近で株価が上がったから今後も上がるだろう、下がったから暴落になるんじゃないか?といったものは憶測にすぎないのです。
株価の動向を見極めたいのであれば、ともするとマネーはすでに暴走気味なわけですから、これを羊に例えるならば、旗振り役となっている金融当局は羊飼いとして見ておけばよいでしょう。
つまり、株価の大局を外さないために、金融当局の旗を見ながら資金投入のベストタイミングを計っていくのが相場師のなすべきところかと思います。
少なくともマネーゲームに惹き込まれて、大事な局面での資金を失わないように心がけて今週も頑張っていきましょう。
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【 相 場 の 格 言 】
『人が冷静さを失っているとき、あなたが冷静さを失わなければ、
あなたは富を築くことができる。』
(マーク・リッチー)
それでは本日も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
執筆者:加藤あきら
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