作成中連日のように話題を振りまいている原油安ですが、原油先物5月限から6月限に切り換わっても怒涛の投げ売りが止まりません。

しかし、冷静に考えれば原油市場の動きはどうあれ石油需要が今後無くなるといったことはなく、ザラ場時間中ではWTIが1バレル6ドル台から20ドル台へと急伸、さらに実体経済における景気の観点からみればエネルギーコストが下がり大きなメリットとなって跳ね返ってくることは容易に想像ができます。

あくまでも金融市場における時限要因と捉えるべきで、おそらくCTAと呼ばれるヘッジファンドがドローダウンを食らって、これを埋めるための換金売りが収まれば過度なリスク回避の動きも収束に向かうと思われます。

昨日の北朝鮮情勢しかり、売り方にとって英航空会社の破綻懸念と相まって格好の材料に使われているとの見方でよいでしょう。

相場の投資家心理としてはやはり直近で好調だった新興市場の瓦落による打撃が大きいと思われますが、もともとこの辺りは短期筋中心の取引だったとみられるため、物色の流れが変わる程度のものかと思います。

個別の動きからは、米国市場で半導体検査装置の米テラダインの決算や引け後の半導体製造大手である米テキサスインスツルメンツの決算をうけて半導体関連株の中に逆行高を演じているものが目をひきます。

昨晩のSOX指数は大幅安で50日・200日の移動平均線を割り込んで下放れの動きでしたが、この分だと直近堅調に推移してきたガス抜き程度で済む可能性があります。

当コラムでお馴染みのアドバンテスト（6857）やレーザーテック（6920）などテスト関連を筆頭に、SCREEN（7735）、ディスコ（6146）なども逆行高して戻り高値付近に舞い戻る動きをみれば全面リスクオフとはなっていないことが分かります。

昨日業績予想の修正を発表した新光電工（6967）は上値抵抗ラインを突破して大幅上昇、逆に直近3日間で売り物に押されていたテラスカイ（3915）は底値付近から逆襲の陽線が立っています。

日経平均が戻り高値をつけて今日で調整3日目、ちょうど25日線との乖離を埋めた形ですので、ここで調整一服であれば次の反発の起点となってもおかしくないところです。

中小型株のマザーズ、ジャスダックは調整2日目なので、多少ズレはあるかと思いますが概ね売りたい向き（利益確定、高値掴みした場合の投げ売り）は売ったと考えてよいのではないでしょうか。

中小型株の直近IPO株などは急騰からの急落で、万が一高値フルポジションで掴まってしまった場合には追証回避の売り物などを明日も出してくるかもしれないですが、そんな投資家はそもそも今の地合いで生き残ってはいないでしょう。

仕手株でいうところの振るい落としが完了すればまた急反転してくるのが今の相場の象徴的な動きです。

したがって、過度な思い込みを避けつつ自分の中の期待と不安をうまくコントロールしながら相場に対峙していれば短期的な値動きに一喜一憂することもないかと思いますし、またその必要もありません。

マザーズ市場の中にもジェイテックC（3446）のような人知れずじわじわと買われているものや東証2部の中にも図研エルミック（4770）などうねりが出てきてこれからが面白そうな銘柄もあります。

自分が投資している先について、そもそも何に期待して投資を行っているのか明確にしながら推移を見守っていくのが最も重要な投資判断であると言えるでしょう。


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【 相 場 の 格 言 】
『人が冷静さを失っているとき、あなたが冷静さを失わなければ、
　あなたは富を築くことができる。』
（マーク・リッチー）

『最高のトレーダーは多くの独特な考え方をしている。
　彼らはその一つとして、恐れずにトレードを実行し、また同時に軽率なトレードと恐怖心によるミスを防ぐ心構えを習得している』
（「ゾーン　相場心理学入門」より）

それでは明日も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。

【本日ご紹介した銘柄】
アドバンテスト（6857）
ディスコ（6146）
新光電気工業（6967）
テラスカイ（3915）
ジェイテックC（3446）
図研エルミック（4770）

執筆者：加藤あきら