難易度高まる株式市場、米10年債利回りの底入れに注目
先週はなんとか踏ん張りましたが、週明けの鈍い出足は投資家センチメントに影響を及ぼしそうですね。
米国は相変わらずコロナ感染拡大で下げたということになっていますが、日本では米中対立激化への懸念が売り材料になったとの見方があるようです。
VIX指数がまた高くなっていますので、これは単に月末月初のリバランスで債券買いの株式売りの構図になりやすいとみられ、米10年債利回りが今日明日で下げ止まってくるかどうかが焦点です。
先週の米国における個人消費支出は大きく改善を示しましたので、今週はISM製造業景況指数や米自動車販売、米雇用統計あたりが上振れてくるかどうか、それに市場が素直に反応するかどうかもポイントになってきそうです。
基本こうしたマクロ指標は改善を示していくことになるかと思いますが、問題はこれらを打ち消す可能性のある悪材料がちらついていることです。
上述した米中対立激化の話も肝心なところがあまりニュースになっていないので、投資家にとっては分かりづらいまま株価だけが何故か下がっているように見えてしまうかもしれません。
香港における国家安全法の成立に関してはこのコラム内ですでに注意を呼びかけてきた話ですが、米国側の対応がひと頃よりも明らかに強硬になってきています。
しかも米トランプ政権ではなく中国から亡命した富裕層を中心に、中国共産党の転覆を目指した暴露話が次々と公表され、そこにはトランプ政権の元幹部であるスティーブ・バノンが暗躍しているとのことです。
株式マーケットとりわけ日本には関係の無いような話にも思えますが、これによって国際情勢が混沌に陥り、米トランプ政権そして中国の習近平政権いずれも内政で手を焼くことになりますから、より不確実性が増すことで市場の不安定化につながってしまいます。
米国にしても中国にしても新型コロナ問題よりも厄介な問題を抱えていて、米国株の大幅下落も一説にはトランプ政権が次の大統領選での再選が危ぶまれていることが挙げられたりしています。
米中ともに何より現政権の体制維持が困難な事態になれば、ウイルス対策どころか国家そのものが揺らぐことになってしまいますので、これは注意深く見ておかなくてはなりません。
巷であふれる市場解説を真に受けて、いまだにコロナが大変で下げていると思っている方は大変危険ですが、そうでなくともマーケットの変調は感じ取っているはずです。
ボラティリティが高まってくると難易度が格段に上がるので難しくなりますが、それは売り方にとってもそうで、安易に空売りすれば儲かるという相場でもありません。
よって、今週・来週とおよそ2週間がヤマ場となりますが、「上げに浮かれず、下げに怯えず」を心がけて取り組んでいきましょう。
相変わらずドラッグストア関連が強いのですが、ここではあえて売りセクターの中で逆行高した小松製作所(6301)、ニチハ(7943)やフジテック(6406)などを本日の注目としてご紹介しておきたいと思います。
【 相 場 の 格 言 】
『悲観の極みは最高の買い時であり 、楽観の極みは最高の売り時である』
(ジョン・テンプルトン)
それでは明日も希望をつないで慎重にかつ大胆に取り組んでまいりましょう。
【本日ご紹介した銘柄】
ニチハ(7943)
フジテック(6406)
執筆者:加藤あきら
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