ブロックトレードは悪役なのか
一連の報道によると、中国のハイテク企業や米国のメディア大手の株式が大量に売られた同ブロック取引の背後には、アルケゴス・キャピタル・マネジメント(いわゆるヘッジファンド)の存在が囁かれており、同社を顧客とし、プライム・ブローカレッジサービスを提供している野村HDは、約20億ドル(約2200億円)相当の損害が生じる可能性があると発表し、昨日の株価は16%を超える下落となりました。
本日もクレディスイスがアルケゴスに関連して30億ドル規模の損失を見込む、
という報道がなされております。
マージンコール(信用取引における追証とお考えになったら分かりやすいでしょう)を受けてアルケゴスがポジションを清算せねばならず、その清算売りを証券各社がブロックトレードという手法を使って市場で執行したまでですから、悪役はブロックトレードそのものではなく、あくまでもアルケゴスの運用失敗、という解釈が、本日の市場ではコンセンサスになりつつあるようです。
日本の市場は、昨日が3月末の権利付き最終売買日でしたので、分割絡みの売買、配当権利取りの売買、4月からの合併等に絡んだ売買、さらにはそうした動きのボラティリティを狙おうという売買が複雑に絡み合い、銘柄によっては荒い動きになったものも散見されます。
しかしながら、「理由がわかっている売買」、もしくは、「理由が推察できる騰落」は、「理由がわからない売買」や「理由が推察できない騰落」に比べれば、投資行動上さほどのリスク要因ではありません。
もちろん「不安心理」という「強敵」とは戦わねばなりませんが、「突発的イベント」に絡んだ売買や騰落は、「市場ファンダメンタル」とは別物であるケースが多いと言えます。
ただし、ヘッジファンドの破綻がその後の金融市場に与える影響は、決して小さくはありません。
こうした動きが連鎖しない限り過度の心配は無用ですが、米国はじめ、市場関係者の間で緊張感が増しているのは、今回の一件が火種となって、あらぬ所に「飛び火」しないかどうかについて身構えているから、と言えましょう。
昨日は前述のような要因から、東京市場でも、大引け後に大きめの立会外・市場外取引を利用したブロックトレードが散見されました。
ビーネックスG(2154)、日立キャピタル(8586、3/30付で上場廃止)は、それぞれ夢真HD、三菱UFJリースとの合併を控えた売買と推察できますが、そこへ個人投資家が小額投資で立ち向かったり、追従したりする事は避けていただきたいと存じます。
イベントドリブン、もしくはインデックスイベント狙いという投資戦略は、あくまでも多額の資産を運用する機関投資家向けの手法であり、それらを知識として知っておく事は個人投資家の投資行動にもプラスではあるものの、知っているからこそ疑心暗鬼になってしまったり、先回りをしようとして損失を出してしまったりすれば、知っている情報も単なる「ノイズ」にしかなり得ません。
あくまでも、個人投資家の皆様おひとりおひとりの「身の丈に合った」投資行動を心がけてまいりましょう。
追記:それでも村田製(6981)の売りキメと見られる20万株の引け後クロス、それを受けてなのか本日100円を超える下落となっている点は気になりますが。。。
執筆:木村泰章
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