シコリこなして一段高期待
コーティング事業や塗料事業、合成樹脂事業を主力として展開する化学メーカーであるが、注目したいのは電子材料事業における導電性樹脂材料「ドータイト」だ。「ドータイト」は、プリント基板にはんだこてを用いずに電子部品を接着できる。耐熱性に優れることもさながら、はんだこての”こて先”が届かない場所にも接着できるというファインピッチにも対応している。なお磁気シールドタイプはパワー半導体等電源関連にも対応しており、従来電子機器の誤作動の原因と見られていた3MHz以下の低周波磁界ノイズを抑えることができる。
2/12発表の3Q決算(累計)では、売上高が約354億円(前年同期比14.3%減)、営業利益が約8億円(同51.7%減)となった。メインの顧客先である完成車メーカーの生産やリフォーム向け市場が未だ低調であることが主要因であった模様だ。しかしながら先述の「ドータイド」は世界的なPC需要の増加に伴い、売上は好調に推移した様子。また同日に業績予想の上方修正を発表しており、3Q以降は急速に関連市場が回復、また全社的な経費削減により売上高は従来予想の445億円から490億円(増減率10.1%)、営業利益は同約1億円から12億円(同900%)と業績の上振れが期待できそうだ。
株価は昨年2/14の20年3月期3Q決算発表を受けて大きく下落したものの、3/16に出来高を伴いリバウンド。25日移動平均線を突破し半値以上の切り返しを見せたが75日線周辺の売り圧力で400円台の水準までの下げを強いられた。以降は25日線を挟んだ攻防戦が続いていたが順調に下値を切り上げ、6/24には出来高を伴い昨年2月初旬の水準まで回復した。その後は乱高下が激しい展開に突入するも昨年12/3に需給が急速に改善し高値590円を付けた。以降は高値圏での利食いに押される形で今年2/1に再び400円台の水準までの下げを強いられたものの、決算をこなしながら徐々に下値を切り上げ、100日線をサポートラインへ転換することに成功していると見られる。目先は4/6のシコリが懸念されるが、上手くこなして600円台へのトライに期待したい。
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