持たざるリスクは避けたいがやっぱり不安:オプションを保険で買うという手法
本日のコラムでは、来週、GW期間、GW後の投資行動について、持たざるリスクは避けたいけれど、やっぱりポジションを保有したままではなんとなく不安だ、という方々に、プットオプションを「保険」目的で買う、という手法をご紹介致します。
とはいえ、プットオプションの買いを推奨しているわけではありません。
むしろ、リスクを回避するには、保有ポジションの調整を行う事こそが最大の選択肢であり、王道であり、セオリーではありますので、オプション取引にまで手を広げる事自体のリスクの方こそを認識すべきでしょう。
ただし、ここでご紹介するプットオプションの買いは、損失がオプションの購入金額に限定されるものであり、極めてハイリスクというものではありません。
複雑・難解なオプション戦略に基づいて利益を追及するのではなく、あくまでも、ポジションの継続保有を前提にする際に、いわば、「掛け捨て保険」的にプットオプションを買うという手法です。
プットオプションの買いは、戦略的に利益を求めるような売買手法を駆使しない限り、大部分は買ったプットオプションの価値がゼロになって終わります。
突発的な大暴落がない限り、価値がゼロになるものを万が一の「保険」として買う事で、心理面での不安感を払しょくする事が「目的」で、「利益追求」を目指す事が「目的」ではありませんし、プットオプションを買う事によって、保有ポジションの値下がりによる損失を100%カバーできるものでもありません。
ヘッジファンド等がしばしば利用するのが、限月の残存が少なく、かつ、権利行使価格が「ベリーアウト」(Very Out The Noney)の安価なオプションを1~数10枚(1枚=オプション価格の1000倍)買うという手法です。
例えば本日、行使価格が24000円という5月限の日経225プットオプションの価格は9円です。
これを1枚買うと、10X1000=9000円で、「24000円で売る権利」を買った事になります。
突発的な外部要因により相場の暴落が起こっても、さすがに24000円までは一気に売られないでしょうから、権利行使を狙っての買いではありません。
ただ、今週の半ばに見られたように、日経平均が1日で600円も下げる場面では、このような権利行使価格が「遠い」オプションの価格も、急激に上昇したりします。
そこを「保険」として狙おうという手法ですから、購入価格は「掛け捨て」に耐えうるような安価なもの、つまり、権利行使価格が「遠い」ものとなるわけです。
相場全体が暴落したわけでも、投資家が総悲観になったわけでもないのに、残存期間が短いと、20万円で買ったプットオプションが一夜にして200万円になった、というようなケースはそこそこ頻繁に起こりえます。
価値がゼロになる可能性が高いオプションを保険目的で20万円分購入するかどうかは、皆様お一人お一人の保有ポジションの総額やリスク許容度によって、大きく差異の出る「価値観」ですので、一般論としてはお勧めする事ができないとご理解ください。
また、皆様にオプション取引自体をお勧めしているわけではなく、あくまでも手法の一つとしてご紹介したという点についても、最後に今一度ご確認くださいませ。
10万円以内で買えるプットオプションの例
5月限日経225オプション 行使価格24000円プット:9円(4月23日終値)
5月限日経225オプション 行使価格25000円プット:16円(4月23日終値)
5月限日経225オプション 行使価格27000円プット:73円(4月23日終値)
5月限日経225オプション 行使価格27125円プット:82円(4月23日終値)
5月限日経225オプション 行使価格27250円プット:95円(4月23日終値)
執筆:木村泰章
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