株式会社あすなろ 関東財務局長(金商) 第686号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 第011-1393

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あすなろ投資顧問

2021-06-15 17:00:00

アナリスト木村の銘柄研究部

やや気がかりな空売り比率の低下傾向

皆様、日々の株式投資へのお取り組み、ご苦労様です。

本日の相場は、トヨタ自動車(7203)が初の1万円台到達、ファナック(6954)、ソニー・グループ(6758)等の主力どころが軒並み上昇、エーザイ(4523)に引っ張られる形でテルモ(4543)や中外製薬(4519)とアステラス製薬(4503)といった医薬品が強く、東証1部の業種別ランキングでは上昇率1位、マザーズ指数は7日連続高で1200ポイントを上回ってきました。

その割には、市場関係者からは「良い相場でしたね」という声は聞こえてきません。
むしろ、個別株の動きはまちまちで、「体感」的には良い相場だったという実感が無い向きの方がやや多いようにも感じます。

そこで今日は空売り比率のお話をしてみたいと思います。

空売り比率 =空売り注文の合計代金 ÷(実売り注文の合計代金+空売り注文の合計代金)× 100

一般的に、空売り比率が大きいということは、今後、ショートカバー(空売りの買戻し)が入りやすく相場が上昇し易いという事を意味するものとされています。
一方で空売り比率が低いという事は、現物での売り決済の割合が多い事を意味しており、つまり、多くの市場参加者が買いポジションを利食いして決済をしている事を暗示しているものと受け止められます。

では、「大きい」「小さい」の定義、もしくは判断の基準は、となりますと、その点については明確な定義・基準はなく、
あくまでも直近の傾向の中での相対感から、「大きい」「小さい」という判断が下される事が一般的です。
直近では30%後半~40%前半が平常で、40%後半になると下げ圧力が強いと見る傾向が一般的なようです。

▼JPX空売り集計
https://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/short-selling/index.html

空売り比率でまず注目したい期間は、まず、日経平均が3日で2000円超下落した5月11日~5月13日。
この3日間の空売り比率の推移は47.3%⇒48.2%⇒47.4%です。
次に、最も気になるのが、その5月11日からの3連続下げの直前に、日経平均が3日間で700円超上昇した際の空売り比率。
39.3%⇒39.7%⇒39.0%と3連続で40%割れとなっていました。
先週1週間では40%割れの日が3日と、空売り比率の低下傾向が続いております。
先ほど発表された本日の空売り比率は38.5%でした。

一方で、テクニカルデータ分析のスペシャリスト、まんもす藤井。も、米国VIX指数の低下15.65(昨日)(5月12日27.59)、日経VIの低下17.05(昨日)(5月13日に28.31)を「気持ち悪い」と懸念しており、空売り比率の推移から見ても、ややピークアウト感を示唆するような数値が見られるところが「気持ち悪く」、この点が市場関係者の間で「体感が悪い」という受け止めに繋がっているものと思われます。

ここから日経平均、TOPIX、JASDAQ、マザーズ指数が揃って更なる高値追いとなってゆくには、この「気持ち悪さ」の解消が必要と思われ、その為には短期調整局面が、しかも大きな値幅を伴った下落を「こなして」ゆく方が「健全」とも言えましょう。
そんな調整局面が来ても、是非慌てて売り急ぐ事が無いよう、お伝えしたいと思います。



執筆:木村泰章

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